時論公論 (時論公論)
今年1月、スウェーデンの首都・ストックホルムのトルコ大使館の前で極右の政治家によってコーランが燃やされる事件が発生。これに対しトルコのエルドアン大統領は反イスラム・デモを容認していると非難したが、スウェーデン政府は言論の自由のもとでは抗議行動を止めることはできないと説明してきた。コーランをめぐる対立はイラン・イラクなどのイスラム諸国とスウェーデン、デンマークなどの北欧の国々との間で度々起こっている。コーランはイスラム教徒にとって信仰の礎であり「コーランを燃やすのは神への冒涜」と考えられ、イスラム協力機構は「宗教的憎悪・不寛容の扇動は表現の自由のもとでも正当化されない」との見解を示している。一方、北欧では宗教より「言論の自由」「表現の自由」が優先され、コーランを燃やす行為は禁じられていない。双方の溝は埋まらないまま「表現の自由」か「冒涜」か根深い問題へと発展しているが、「言論・表現の自由」のもとでも宗教が異なる人への配慮は必要であり、暴力に訴えても負の連鎖を招くことから対話を通じた解決が急がれている。