サラメシ サラメシ
とある会社のまかないランチの様子を紹介。月に数回、従業員が揃ってランチを取るのが習わしになっている。この日は会長の誕生日をお祝い。アットホームな職場の雰囲気。このランチは会長の奥さんが作っており、従業員らに「ばっぱ」と呼ばれ親しまれている。
宮城県気仙沼にある水産加工会社。サンマは旬の時期に大量に仕入れ冷凍庫にストック。1年を通じて味にバラつきがつかないように工夫している。さばいたサンマは余分な油を落とす。味の決め手が返しダレ。50分間じっくりと煮る。専務・斉藤和枝さんは「ばっぱ」の娘さん。来月新しい工場が出来るという。震災を乗り越え従業員が必至に守ってくれた伝統の味。今回紹介しているのは仮設工場で、6年前に東日本大震災で気仙沼港の近くにあった工場は被災し、自宅も加工用の機械もすべて流された。しかし、わずか4か月で製造を再開。きっかけとなったのは、従業員の1人がリュックに入れて持ち出してくれていた“秘伝の返しダレ”だった。震災から3日後、社長の誕生日にプレゼントとして渡されたリュックは、まったく汚れていなかった。
従業員への恩返しは、1日でも早く職場を復旧すること。震災から約1年でこの仮設工場をオープンし、以前と変わらぬ仲間たちの顔が揃った。従業員たちを想う気持ちはばっぱも同じ。せめて胃袋から支えたいとまかないを作ることに。まかないの日のテーブルはいつも賑やかで、従業員の誕生日や出産祝いには必ずまかないを振る舞い、家族同然にみんなでお祝いしてきた。
この日は、仕入先の漁師からもらった赤ザラ貝の混ぜご飯、若い従業員たちに人気というツナを隠し味にした特製コロッケなどを振る舞った。まかないの日は従業員たちも総出で配膳を手伝い、工場2階の休憩室が社員食堂に早変わりする。この日は1か月ぶりのまかないとあって、皆さん良い笑顔。おかわりするとばっぱは嬉しそうだ。ここで作るまかないもあとわずか。5月には新工場への引っ越しが決まったそう。