報道ステーション (スポーツニュース)
今年1月29日に行われた北島康介杯・200m平泳ぎ決勝で、世界新記録となる2分6秒67をマークした渡辺一平。渡辺の凄さはまずその体。193センチの身長に対して体重78キロという細長い体型が、水の抵抗を受けにくく有利だという。さらに、肩の柔軟性という特徴を持っている渡辺。正面から泳ぎを見ると、他の多くの選手と違って腕の形がM字になっていることがわかる。これによって水を捉える位置が頭より前になり、より大きな推進力を得ることができているという。
1997年・大分県出身の渡辺は、「一人の平凡な男になってほしい」との願いを込めて「一平」と名付けられた。しかし、渡辺は7歳で水泳を始めると非凡な才能を発揮。その競泳人生の中で、掲げた目標は1年以内に達成し続けてきたという。そして、高校3年生のときに出場したユース五輪で金メダルを獲得した渡辺は、去年のリオ五輪200m平泳ぎ・準決勝で目標である2分7秒台の達成だけでなく、五輪記録をも更新してみせた。金メダルへの期待も高まる中、同室だった萩野公介に「金メダル部屋を作ろう」という言葉をかけられたという渡辺は、「準決勝と同じことをしようと考えた。その時点で準決勝を超えることはできなかった」と振り返る通り、迎えた翌日の決勝では準決勝よりタイムの遅い6位に終わった。このレースを見ていた奥野景介コーチは「失敗は『最大のハードルは決勝進出』と言ってしまったこと。短時間ですぐ次の目標設定をするステップが足りなかった」と反省を口にする。しかし、常に高い目標を持ち続ける重要性に気づいたことは、渡辺にとって大きな転機となった。渡辺がリオ五輪直後に立てた目標は、世界記録の更新。これをあえて口に出すことで有言実行を目指した。思い描いていたのは、金メダルへの大きな期待が寄せられる中で北京五輪に出場し、結果を残した北島康介だ。そして今年1月、渡辺は北島康介杯・200m平泳ぎ決勝で世界記録更新の目標を達成した。レースを見た北島康介は「楽そうに世界記録を出した。もっと伸びしろがある」と評した。そんな渡辺一平の次の目標は「2分5秒台で優勝する」だった。