2023年12月19日放送 1:56 - 2:22 NHK総合

クローズアップ現代
選 合意か決裂か〜アラファト議長 単独インタビュー〜

出演者
国谷裕子 桑子真帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

今回は…

中東和平の行方に注目が集まるなか、世界の注目を集める、パレスチナのアラファト議長。イスラエルとの最終和平合意期限は来月13日。アラファト議長は国際社会の指示を得るため1ヶ月ほどの間に世界27か国を訪問。アラファト議長が日本を訪れNHKの単独インタビューに応じた。和平交渉後、アラファト議長が長時間のインタビューに応えたのは初めて。期限切れまでにイスラエルと合意できるのかインタビューを通じて和平交渉の行方を探る。

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(クロ現 30th:選 合意か決裂か ~アラファト議長 単独インタビュー~)
アラファト議長に聞く

イスラエルとパレスチナが互いに共存に向けて話し合いを始めたのは7年前。激しい対立で多くの命が奪われてきた。和平交渉の合意期限が3週間後に迫る。イスラエルのバラク首相、PLOのアラファト議長、両者が期限までに合意に達することができるのか注目している。パレスチナ人の悲願は聖地東エルサレムを首都とするパレスチナ国家を樹立すること。自分たちの国を作ろうと考えていた土地の多くをイスラエルの建国によって失った。様々な問題を巡る合意なくして平和的な国家樹立はあり得ない。クリントン大統領の仲介で行われた首脳会談では合意に達することはできなかった。合意期限まであと3週間。アラファト議長にインタビューした。キャンプデービッドの交渉決裂についてアラファト議長は「交渉が暗礁に乗り上げた理由はバラク首相らイスラエル交渉団が宗教上重要でしかも危険な問題にこだわったから。東エルサレムはイスラム教徒やキリスト教徒の聖地。その聖地の主権をイスラエルが持つことは受け入れるわけにはいかない」などと述べた。

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3つの聖地が集まる土地

1993年9月13日、アラファト議長とラビン首相が歴史的なパレスチナ暫定自治合意に調印。パレスチナの国家独立の出発点となる暫定自治が初めて認められた。しかし、東エルサレムの主権に関する問題はその後の交渉に委ねられた。イスラエルが永遠の首都とするエルサレム。東エルサレムはアラブ人が住んでいたが第3次中東戦争でイスラエルが占領し併合した。東エルサレムにある、旧市街はイスラム教の岩のドーム、キリスト教の聖墳墓教会、ユダヤ教の嘆きの壁と3つの宗教の聖地が集中している。アラファト議長は「ユダヤ人がこれまで通り祈る権利を認めると言った。キリスト教、イスラム教の聖地にイスラエルの主権を認めることはできない。すべてのアラブ人、イスラム教徒、キリスト教徒にとって受け入れられないこと。1991年にマドリードで行われた中東和平会議での妥協案を受け入れた。国連安保理の決議ではイスラエルが第3次中東戦争で占領したすべての領土を返還しなければならないと定めている。無理な要求をしているのではない。すでに合意されたことを性格に誠実に実行するよう要求している。私は裏切り者にはなれない」などと述べた。

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国家独立に向けた動き

アラファト議長は国際社会の支持を取り付けようと活発な外交を繰り広げている。交渉期限の来月13日までにイスラエルと合意に至らない場合にはパレスチナ国家の樹立を一方的に宣言すると予告してきた。パレスチナ暫定自治区では国家独立に向けた具体的な動きが始まっている。ガザ地区では業者がパレスチナの国旗作りに追われている。世界各国に外交官として派遣される人たちの研修も始まった。国際法や外国の講義が集中的に行われている。その一方でパレスチナ指導部は子どもたちを含めた一般市民の軍人訓練も行っている。国家独立を一方的に宣言した場合イスラエル政府は占領地武力で併合すると警告していることからそれに対抗する動きだ。来月13日までにイスラエルと合意できると考えるか?という質問にアラファト議長は「もしそうでなければこの地域全体が大混乱に陥ることは間違いない。」と話した。その上で「400万人ものパレスチナ難民が世界中で国なき民として暮らしているということを忘れないでください。」と述べた。

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エルサレムと中継トーク

和平交渉の最大の対立点となっているのは聖地エルサレムの帰属問題。アラファト議長はこの問題を先送りしたり主権を部分的にでもイスラエルと共有するなどといった妥協には一切応じられないとしている。1993年の歴史的なイスラエルとパレスチナの合意でこの占領地でパレスチナ人の暫定的自治を認めることが合意されている。そこから7年間でパレスチナによる自治がどれほど実現したのか。ガザ地区では6割、ヨルダン川西岸地区では4割ほどに留まっている。最大の対立点となっている聖地東エルサレムはイスラエルが一方的に併合したままになっている。パレスチナ人は東エルサレムを首都とした国家を樹立することを悲願としている。これに対しイスラエル側はどんな姿勢を見せているのか。イスラエルは1967年の第三次中東戦争以来、エルサレムは占領地ではなく分割できない永遠の首都だと宣言してきた。したがってこのエルサレム問題で譲歩することはこれまでタブーだった。しかしバラク首相は先の首脳会談で東エルサレムの主権をパレスチナ側と部分的に共有するというクリントン大統領の調停案に応じる姿勢を示した。このためイスラエル国内では激しい反発が起き連立政権から複数の政党が離脱した。バラク政権は崩壊の危機に瀕している。そのためこれ以上エルサレム問題で譲歩すれば自ら首相の座を追われることに繋がりかねない。エルサレム問題の解決を先送りする以外交渉決裂を避ける手立てはなさそうだ。

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活発に活動するアラファト議長

アラファト議長は30年以上の間、パレスチナ国家建設のため活動してきた人物だ。アラファト氏は1929年生まれ、若くしてパレスチナの独立運動に参加し、69年PLOの議長に就任した。当初アラファト議長は徹底したゲリラ戦術でイスラエルとの闘争を指揮し武力による国家独立を目指した。しかしやがて武力闘争に限界を感じイスラエルとの平和共存の道を決断した。アラファト議長は「大切なのは平和を実現すること。聖なる土地に平和をもたらすことなのです。」と述べた。

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和平の道を共に切り開いたパートナー ラビン首相

アラファト議長にはかつて和平の道をともに切り開いたパートナーがいた。それはイスラエルのラビン元首相。7年前に暫定自治合意の調印式で当時のラビン首相はイスラエルの指導者として初めてアラファト議長と握手した。ラビン首相はそれまでテロ組織と位置づけてきたアラファト議長率いるPLOを初めて正式に承認した。しかしその2年後、ラビン首相はパレスチナとの和平に反対する過激派のユダヤ人に暗殺された。アラファト議長にとってこの事件は和平を推し進めることも命をかけた闘いであることを思い知らされることだったという。アラファト議長は、パレスチナ国家樹立を宣言したいか聞かれ、“言うまでもない”とのべ、それは平和のためパレスチナの子どもたち、イスラエルの子どもたちのためだとのべた。

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エルサレムと中継トーク

今世紀中にパレスチナ国家樹立を宣言したい、平和のためだとアラファト議長は繰り返し協調していた。しかしその一方で強硬な姿勢もみせている。合意の期限が3週間に迫る中、バラク首相としては先の首脳会談で自分ができる最大限の譲歩をしたとしており、アラファト議長が頑なな態度を改めない限り再び首脳会談に応じても意味がないとしており、アラファト議長の出方を伺っている状況となっている。首脳会談後も双方の閣僚レベルでの交渉は断続的に行われているが、アラファト議長とバラク首相が会う予定はたっておらず、来月までに最終合意に達することは極めて難しい状況にあると伝えた。アメリカのクリントン大統領は来月6日にニューヨークで開かれる国連のミレニアムサミットの際にそれぞれと個別会談し交渉決裂を避けるための説得を行うとみられている。

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