- 出演者
- 桑子真帆 国谷裕子
今夜のゲストは国谷裕子。30年の記録を紐解いて今の時代を読み解く。
イスラエル・パレスチナ、気候変動の2つのテーマを考える。
国谷裕子は「30年前、国際ニュースで最も重要なニュースとなったのがオスロ合意だった。和平に向けて歩みたいという高揚感は確かにあった。ただ専門家は和平の希望を浸透させていくためには国際社会の支援が必要であるとおっしゃっていたのも印象的だった」などと話した。
ハマスが選挙に勝利しパレスチナを代表する勢力に躍り出た2006年、ハニーヤ最高幹部は「占領と抑圧のもとで暮らし続けるわけにはいかない」などと話した。2001年、ペレス大統領は「ほとんどの人は和平なくして安全なし、安全なくして和平なしというのを理解している」などと話していた。
国谷裕子は「パレスチナ問題に関連しては膠着した事態を打開することができるのは指導者だけ。テレビジャーナリズムがインタビューを通して対立する当事者たちへの理解を深めることができるということときっかけをつくることができる可能性をABC放送の番組を見て認識した」などと話した。
桑子真帆は「遠い出来事と視聴者の接着点になれたらと思っている。実際に現地に行って気付いたことを言葉にすることで観ている方に疑似体験してもらってそれが関心に繋がっていったら。ただ問題が長期化していくと関心が薄れていくのも感じる」などと話した。
長年アフガニスタンを取材してきたモフセン・マフマルバフさんは「忘れられていたアフガニスタンという国を思い出させるために映画を撮った。この20年間に空から爆弾を落とすより教科書を落としていたならアフガニスタンはこうはなっていなかった」などと話した。
番組の歩みを振り返ると現在につながる変化が見えてくる。QRコードを読み込むと過去に放送したクローズアップ現代を観ることができると告知した。
温暖化の影響は30年前から現れていた。当時世界の平均気温は産業革命前より+0.6℃。科学者は温暖化が進むと極端な気象現象が起こるようになるとすでに予測していた。1997年、温室効果ガス削減目標を初めて盛り込んだ京都議定書が採択された。しかしアメリカが経済への悪影響を懸念して離脱を表明し暗礁に乗り上げる。京都議定書採択から10年後、世界の平均気温は+1℃近くまで上昇。レスター・ブラウン博士は社会のあり方を転換しなければならないと訴えた。
世界のエネルギー消費量は増加の一途をたどった。セネガルでは農業が成り立たなくなり多くの人が村を離れる事態が起きていた。世界では気候難民が急増している。2050年には2億1000万人にも上ると予測されている。国谷裕子は「豊かさを求める生活のあり方が地球の劣化をもたらしている認識に欠けていたのではないか」などと指摘した。
温暖化を止める最大のカギは化石燃料の消費を減らすこと。日本は化石燃料への依存を続けてきた。背景にあるのは温暖化対策はコストがかかるという考え方。専門家が指摘していたのは長期的な視点の欠如。一方、ヨーロッパでは温暖化対策に対して全く違う意識を持っていた。バッテンフォールCEOはビジネスや技術開発にとって投資のチャンスになると話す。
国際社会は気候変動への危機感を高めていき、今月COP28では化石燃料からの脱却を進め今後10年間で行動を加速させることが決まった。蟹江教授は「コストをかけてでも対策を取っていたら効果が大きかった。リスクよりもチャンスの議論をしっかりするべき」などと指摘した。政府は2050年ゼロミッションを打ち出しているが、火力発電所の廃止時期を明示していない。
国連のアミーナ・モハメッドさんは「地球は人間なしでも存続できるが私たちは地球なしで存続できない。持続可能性を追求することは人類の責務」と警鐘を鳴らす。2030アジェンダには我々は地球を救う最後の世代になるかもしれないと書かれている。国谷裕子は「時間はあまり残されていないという危機感がSDGs全体に流れている。これまでのあり方をいかに変革するか野心的、大胆なスピーディーな検討が必要になる」などと見解を示した。
エンディング映像。