2023年8月27日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
処理水放出 今後の課題は 福島の復興は

出演者
伊藤雅之 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。福島第一原発の処理水の放出が始まり、岸田総理大臣は「緊張感を盛って全力で取り組んでいく」と述べた。一方中国は日本産の水産物の輸入を全面的に停止し水産業へ与える影響への懸念が強まっている。

キーワード
中華人民共和国外交部内堀雅雄岸田文雄福島県福島第一原子力発電所西村康稔
(日曜討論)
処理水 放出開始 受け止めは

放出が始まった福島第一原発の処理水について。西村経済産業大臣は放出の時期について、今後廃炉を進めていく中でタンクが必要となり、一定の処分をしなければならなくなった。専門家が6年間に渡って検討した結果海洋放出が適切であるとし、このタイミングを示してきた。そうした中IAEAの安全に関わる包括報告書が提出され、漁業者の皆さんなどに説明をするのに時間を要した。夏の観光シーズンを考慮しながら岸田総理も視察し最終的に24日と決めた、などと説明。福島県の内堀知事は今なお処理水の海洋放出には反対であるという意見、一方でやむを得ないという思いもあるが両者に共通しているのは風評の心配。福島は事故以降風評と戦ってきたが、成果が逆戻りしないかという不安が県民の中にある。葛藤と分断を改めて実感しているなどと話した。トリチウムの研究に取り組んできた鳥養氏は放出について、計画通りである限り全く問題ないとしながらも、計画通りであることが国民に伝わらないと風評被害につながるなどと指摘した。福島ダイアログ理事長の安東氏は、周りの受け止めはかなり厳しい、岸田総理は県内で記者会見などを開いて県民に対して語りかけてほしかったなど指摘し、政府への不信感につながるなどとした。風評被害の問題に詳しい小山氏は漁業者の反対の声などがあったが、強行して決まってしまったのが残念。仕方ないという声が多いが、諦めさせられてしまったという印象は良くない、このあとの対話が重要。一方市場が混乱しなかったのは良かったなどと話した。

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関係者の理解は

2015年に政府と東京電力が福島県漁連に示した、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないという方針。野崎会長は22日、約束は果たされていないが破られたとも考えないとしている。そして24日には海洋放出に反対であることには変わりはないとした。西村康稔は、処理水の処分も終わってその時点で漁業が生業として継続していることで約束は果たされる、今の時点では継続の途中だと理解しているなどと話した。安東量子は、漁業者との約束ではあるが他の福島県民もどのように果たされるのか見ていて、政治家がもっと全面に出て説明するべきだったと思うなどとコメントした。小山良太は、オープンな場で議論しその過程を国民などに示す過程があったほうが良かったと話した。内堀雅雄は野崎会長の言葉を紹介し、漁業者が望んでいるのは漁業を継続していきたいということだと思うなどと話した。西村康稔は、気持ちに応えていけるように風評対策などを政府が全責任を持って取り組みを続けていきたいなどと話した。

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安全性の確保は

安全性の確保もポイントになる。福島第一原発では1日90トンのペースで汚染水が出る。ALPS処理をする。放射性物質の大変は国の基準を下回る濃度になる。トリチウムは除去できずに残ってしまう。東京電力の計画ではトリチウムを1500ベクレル未満に海水で薄めるという。そして海洋放出をする。一般の人の被爆限度が、年間1mSv/年となる。東京電力の分析によると、処理水の放出の影響は国の基準の50万分の1~3万分の1となる。原子力規制委員会、IAEAは妥当と判断。西村康稔大臣は、IAEAによって何度も調査されているという。鳥養さんは、海の中にトリチウムは存在している。放出されたトリチウムは濃度が低いので大丈夫だという。人に与える影響はあるのか。セシウム137の1000分の1となる。必要以上に恐れる必要はない。海に放出すれば身体の中のトリチウム濃度よりも低くなる。処理水の中にはそれ以外の放射性物質が入っている。それが心配になってくる。西村康稔大臣は、IAEAと確認し、基準が下回っている。国の基準の40分の1になっている。飲水の基準の7分の1となる。蓄積はされない。ヒラメやアワビにも蓄積されないことがわかっている。

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放出への理解 どう得るか

福島ダイアログ・安東量子は安全確保は勿論、受益者とリスクの負担者が違う不公平感が根本にある、日本政府や行政はステークホルダーを関与させて物事を決定していくという必要性・重要性が認識されていないなどと話した。福島県知事・内堀雅雄は福島県だけの問題ではなく日本全体の問題、30~40年間安全性が担保できるのかなどと話した。茨城大学・鳥養祐二教授は福島第一原発事故を発生させた東京電力を信じることができるかどうか、確実に行っていくことが重要などと話した。西村康稔経済産業大臣は漁業者とのフォローアップ体制を作る、東京電力も社長直下のチームを結成するなど体制を新たにしている、国民への理解を得られるよう国と東京電力が責任を持って進めていくなどと話した。

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風評被害 求められる対策は

福島県沖の沿岸漁業の水揚げ量は2011年以降大きく落ち込んでいる。去年1年間の5604tと震災前の2割となっている。風評被害などへの対策として300億円水産物の取引価格が原則7%以上下落した場合漁業者団体などが一時的に買い取り冷凍保管の費用が補助されるなどする。漁業者の事業継続支援が500億円で売り上げが300億%以上減少の場合、新たな漁場の開拓などを支援するため人件費や漁具の購入費用など最大3000万円補助されるなどとなっている。

小山さんは風評被害で価格が落ち、取り引きが停止することが望まないことを目指している。大手のスーパーは継続して残っているなどが維持できるかが重要なポイントとした。内堀さんは政府が風評対策をすることと全国からの応援が必要とした。安藤さんは根本的な原因は事業者や政府に対する不信感が大きいため信頼を確保することが大事とした。西村さんは全国知事会の村井会長らと話をし前向きに考えていただけたとした。流通業界はこれまで通り、これまで以上に取り扱いたいという声があったという。

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処理水を放出した場合、福島県の海産物を仕入れたいかというアンケートでは仕入れたいとある程度仕入れたいが51.9%となった。小山さんは対策として情報を理解していくことで漁獲量を増やし、流通量が増やしていくことが重要とした。鳥養さんは取り組みとしてトリチウムを知らない店員がトリチウムを知らない客に教えるのが難しく、測定して大丈夫だったということが説明しやすいため茨城大学からは魚の分析を始めるという。内堀さんは正確な情報を粘り強く訴えていくことが重要だとした。西村さんは国が手当する予算などは適切なタイミングで迅速に使っていくとした。

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廃炉への道筋は

廃炉の道筋について西村さんは「国内外の叡智・技術を結集して進めている段階。汚染水対策、入り込む量が今では約90tまで減らしてきているので今後さらに減らしていきたい。燃料プールからの取り出しも3・4号機で完了しているので1・2号機も31年内に全て取り出す予定。燃料デブリについて2号機の試験的取り出しも23年度の後半を目処に進めている」と現状を説明。41~51年までに完了するかどうかについて「一歩一歩着実に進めていきたい」と述べた。岸田総理は”国として海洋放出を行う以上、廃炉及びアルプス処理水の放出を安全に完遂すること。漁業者のみなさんが安心して生業を継続できるよう必要な対策を取り続けるよう、たとえ今後数十年間の長期に渡ろうとも全責任を持って対応することを約束する”と述べている。これに対し福島の内堀知事は「この言葉は重く、極めて重要。ぜひこの重い言葉を実行して頂きたい」と伝えた。

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岸田文雄福島県

福島の復興をどう進めていくかについて議論する。小山さんは「地元の協力なしに進めるのは無理だと思う。対話・議論する場を今後も作っていく必要がある」と指摘。鳥養さんは「福島第一原発がこういう状況にあることが風評被害。これを速やかに片付けて明るい未来が達成できることが重要だと考えている」と述べた。安東さんは「住民たちが1番不安に思っていることは、自分たちのことなのに自分たちの意思が反映されないこと。常に行政が決めてそれを押し付けられることを最も不満に感じており、それは時間が経つごとに逆に強まっているまである。住民を意思決定に交えられるような仕組みをきちんと考えて欲しい」とコメント。内堀知事は「我々は自分たちの世代・次の世代のためにも挑戦を続けるしかない。福島第一原発の廃炉をぜひ安全に実行してほしい。また全国からのエールが非常に重要なため、皆さんの応援を引き続きよろしくお願いします」と述べた。

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東京電力福島県福島第一原子力発電所

今までの発言を踏まえ西村さんは「福島第一原発の廃炉・福島の復興は日本政府の最重要課題であり、それはこれからも変わらない。全責任を持って取り組んでいくという言葉の通り取り組んでいきたい。2020年代を通じて全ての方が帰還できるよう、それぞれの自治体と連携しながら取り組んでいきたい。新しい技術の拠点として福島をしっかり応援していきたいと思う」と述べた。

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岸田文雄福島県福島第一原子力発電所豊田通商

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