- 出演者
- 塚原愛
近年、浸水被害はこれまでとは違うカタチで起きている。2019年の台風19号では、多摩川沿いで水が溢れ、道路が冠水するなど被害が出た。2021年には武雄市の六角川沿いで被害が出た。拾は河川の氾濫による災害ではない。内水氾濫という。雨水を排出できず溢れ出す現象だ。鰺ヶ沢町の防災危機管理専門員は、経験したことのない雨量だったので排水が間に合わなかったという。
NHKでは命と暮らしを守る取り組みを行っている。内水氾濫について解説する。つるのさんは理解していないとのこと。内水氾濫は、大雨の際に排水できず水があふれてしまう現象が。過去10年で浸水した建物の約6割が内水氾濫による被害だとのこと。番組の内容は明日をまもるナビのホームページでも公開中だ。都市部では通勤通学のときに被害にあうことがある。
過去の事例から原因を探る。2019年の台風19号では同時多発的に浸水被害が発生。東京と神奈川の多摩川流域では多くの被害が出た。多摩川は氾濫していなかったが、流域の各地で被害が出た。中原区の榎本さんの家では溢れた雨水がベランダから流れ込んできた。腰まで水が入ってきたという。武蔵小杉駅周辺でも浸水被害が発生。改札が水没。タワーマンションでは地下の配電設備が水につかり、停電した。世田谷区でも被害。世田谷区の病院は一時孤立状態になった。下水管などの排水機能が追いつかなかった。かつて雨水は地面に染み込んでいた。それが、都市化が進み、雨水は溢れ出ている。雨の降り方が激しくなってきた。はやめの対策が必要だ。
内水氾濫について池内さんが解説。内水氾濫とは雨水が染み込みにくく、排水能力を越えて逆流して浸水してしまうこと。東京都では1時間あたり50ミリの雨量に対応できるよう整備されている。50ミリの雨は滝のような雨と非常に激しい雨で、内水氾濫する箇所は年々増えているという。対策として、大雨のときには地下から早く上に移動すること。浸水深が浅くても歩くのが困難であるため、扉の外に雨水が溜まって開かないことがほとんどである。また、頑丈な建物の2階以上へ避難することが重要であるという。エレベーターで逃げるより階段を使用して避難するといいとのこと。また、気象庁が出している「キキクル」という項目が表示される。住所を入力すると、周辺の浸水の危険度を5段階で表示される。情報は10分ごとに更新されるため、是非活用するよう呼び掛けた。また、内水氾濫は都市部以外でも発生するという。
大都市以外でも発生する内水氾濫の原因の1つに中小河川や用水路の機能不全があげられる。昨年8月、記録的な大雨に見舞われた青森。線状降水帯が発生するなど、雨は数日に渡り県内各地で被害が発生した。鰺ヶ沢駅では目の前の道路が完全に浸水しているのが確認できる。地区を流れる中村川は大雨により水位が急激に上昇した影響で用水路の流れが悪くなっていた。この機能不全により内水氾濫が起きたとされる。その結果、町内では455棟が浸水し、県内最大の被害となった。
内水氾濫の2つ目の原因は低地での排水ポンプの機能不全とされる。2020年7月に福岡県大牟田市で内水氾濫が発生した。通常低い土地には雨水の排水設備が常設されているという。記録的な大雨が降ったことで、ポンプ場が水に浸かり機能が停止。川より低い土地の排水ができなくなったことから被害が拡大したという。内水氾濫は都市部だけでなく、用水路やポンプ場の機能が停止すれば各地で発生する可能性が高いという。
内水氾濫は、どこの場所でも危険性はある。小さな河川は、注意が必要だ。本流の水位があがり、支流の水位があがってしまう。排水ポンプが機能しなくなるという。排水ポンプの能力を超えるとポンプ場が浸水する。全体をかさ上げするのはお金がかかる。建物自体を耐水化することも大事だ。止水壁や、防水扉の設置などだ。大河川の水位が氾濫危険水位のとき、ポンプを止めることがある。全国様々な場所で危険性がある。浸水の危険性を知ることが大事だ。重要事項説明として、不動産会社が説明することもある。内水氾濫のハザードマップもある。世田谷区のハザードマップを表示した。川沿いの部分では、危険な地域が広がっているが、離れた地域でも浸水の危険性があることが示されている。避難場所も表示されている。日本の平地は、河の氾濫でできた土地が多い。平地は避けたほうがいい。過去の浸水被害の状況をしらべたほうがいい。
NHK防災 これだけはから。2階に非難は難しい場合、最後の手段について。2階に避難は最後の手段だ。外に出るのが危険なときには、崖と反対の部屋へ垂直避難するのが有効となる。近くに鉄筋コンクリートの建物があれば避難先の候補にする。崖や山の斜面や渓流やサワの近くにいる方は、大雨が予想された段階で避難を考える必要がある。
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大雨のとき、身近で危険な場所とは。アンダーパスの冠水は危険だ。事故は相次いでいる。清須市で69歳の女性が車でアンダーパスで犠牲になった。三重県のいなべ市で50歳の男性が犠牲に。2022年には滋賀県の近江八幡市で女性が犠牲になった。アンダーパスは水があふれやすい。冠水した道路を車で走る危険が関係している。ミイ綿花が見えづらく側溝に落輪するおそれがある。車内に水が入りエンジンが止まるおそれもある。車が動かないときはすぐに脱出しなければいけない。ドアが開かない場合は、窓ガラスを割ることが必要だ。脱出できないときは警察や消防に救助を求めなければいけない。全国でアンダーパスの事故を防ぐ取り組みが行われている。市が自治会に、アンダーパスの監視や事故発生時の市への連絡を委託。職員が現場に到着するまで一時的に通行止めを行ってもらうという。アンダーパスを通行止めにする設備の開発もすすむ。アドビックでは、冠水を検知するとバルーンで通行止めを知らせる。全国160ヶ所で導入したという。大雨のときにはアンダーパスを避けて命を守る行動が必要となる。
アンダーパスにどうして、車は突っ込むのか。遠くから見ると、たいして水深がないように見え、軽く考えてはまってしまうのだという。冠水しているところは走ってはいけない。ハンマーでガラスを割るのは最終手段となる。危険なアンダーパスの場所を知らせている自治体がある。ホームページなどで公開されている。東京の浸水対策を取材した。
人口が密集する東京では、浸水被害を減らすためどのような対策が進んでいるのか。杉並区にある治水対策施設では、地下空間を活用し、大雨が降った際の氾濫に備えている。環状七号線の地下には巨大なトンネルがあった。川が増水した時に水を一時的に溜める、「神田川・環状七号線地下調節池」だ。直径12.5m、長さ4.5kmのトンネルの上には、神田川水系の川が横切っている。川が一定の水位を超えると、トンネル内に水を引き込み、浸水被害を減らす仕組み。貯留量は25mプール約1800杯分。
大雨が降った時浸水被害の恐れがあるのが、地下鉄だ。被害を防ぐため、東京都は2040年台半ばまでに、地下鉄の出入り口や線路への浸水を防ぐ、防水シャッター・防水ゲートの整備を計画している。整備費用は約300億円。既に工事が始まっている場所もある。記録的な大雨に備え、浸水被害をどう減らすのか、様々な取り組みが全国で進められている。
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貯水池は非常に活躍している。2019年の台風19号の際には、貯水池の9割まで水を溜め、神田川・善福寺川の洪水を軽減している。溜まった水は、洪水後にポンプで排出する。地下以外にも溜める例がある。通常はテニスコートだが、雨が降ると池になる兼用施設。出口を絞っているため、徐々に排出される。普段はグラウンドだが、洪水時には水を溜められるなど。普段から排水されやすいよう「雨水ます」を掃除しておくのが大切。
山之内は「内水氾濫には盲点がたくさんあった。こういうことが起こるとちゃんと意識すると、防災意識が高まった」と話した。つるのは「こういうことも考えておかないといけない。高台に住んでいても屋上に落ち葉がたまると水が溜まるので、日頃から排水溝を掃除する」と話した。今後気候変動によって大雨の発生頻度は益々増える。ハード・ソフト両面から対策することは大切。自分が住んでいる地域のハザードマップを見て、どこが浸水の危険性があるのか、どこに逃げるのかを把握する。避難場所まで歩いてみる。普段からしておくことがいざという時に的確な判断行動をとれる基礎になる。
番組ではBOSAIアクションを応援。チャレンジ報告動画を募集している。寄せられた動画は番組内や番組ホームページで公開。防災に役立つ情報をツイッターでも発信。
挨拶した。
元建築士の小島充さんから届いたチャレンジ報告動画。耐震強度の異なる2つの模型を作り、地震による倒壊実験を行った。筋交いなどで耐震性を高めれば被害を少なくできる。SNSを通じ発信している。2016年熊本地震では、数多くの住宅が倒壊した。それ以来、小島さんは住宅の耐震性に目を向けてもらおうと努力している。
あなたも! 防災力向上の「BOSAIアクション」に挑戦!「チャレンジ報告動画」募集中。詳しくは「明日をまもるナビ」HPまで。
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