2024年5月13日放送 14:50 - 15:00 NHK総合

時論公論
アパルトヘイト終焉から30年 民主化の険しい道のり

出演者
二村伸 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(時論公論)
アパルトヘイト終焉から30年 民主化の険しい道のり

南アフリカでは1994年4月にアパルトヘイト関連の法律が廃止された。全人種による初の選挙が実施され、ネルソン・マンデラ氏が黒人初の大統領に就任した。マンデラ氏は白人との融和を訴え、すべての人種が共存する「虹の国」の建設を打ち出した。南アフリカは新しい国旗と国家を制定し、合わせて11の言語を公用語とし白人と黒人が共存する国作りを進めた。マンデラ氏は1期限りで政権を退き、その後の政権は権力闘争と汚職などの政治腐敗が絶えなかった。ズマ前大統領は783件の汚職疑惑にまみれ、任期途中で辞任を余儀なくされた。政治の混乱と治安の悪化を招き、経済の停滞に拍車をかけた。2010年代以降の経済成長率は2%前後に低迷。電力不足で計画停電が長期化し、去年の成長率は0.6%。失業率は30%前後で高止まりし、特に黒人の若者の失業は深刻。黒人の収入は白人の3分の1で、黒人間の格差も拡大している。世界不平等研究所の報告によると南アフリカでは国民の1割が富の85%を独占し、特に上位1%が54%を保有しているとされている。5月29日に国民議会の選挙が行われるが、与党のアフリカ民族会議は支持率が低下し過半数維持は難しいとの見方もある。結果次第では政治が不安定化し民主化が後戻りしかねない。対話を通じてアパルトヘイトを廃止し民主的選挙で白人政権から黒人政権に移行した南アフリカは人種差別・迫害・紛争後の国家債権のモデルとされ、イスラエル・パレスチナ紛争にも参考になると言われた。ただ外交では欧米との溝を深めている。二村解説委員は、南アフリカが和解と共存の先例となるよう国際社会が支えていくことが求められているとした。

キーワード
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(エンディング)
エンディング

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