2023年12月8日放送 23:15 - 23:30 NHK総合

漫画家イエナガの複雑社会を超定義
選 新型コロナmRNAワクチンを超速解説の巻

出演者
橋本マナミ 町田啓太 
(漫画家イエナガの複雑社会を超定義)
mRNAワクチンのヒミツは全部お見通しだ!の巻

2019年の年末に始まった新型コロナウイルス感染症。新型コロナワクチンにはこれまでとは全く異なる技術が使われている。mRNAがウイルスと戦うためのたんぱく質を作る。mRNAはコロナ以外にもインフルエンザ、がん、アレルギーの治療にも応用できると期待されている。開発の裏には40年に渡る科学者の研究があった。

キーワード
mRNA新型コロナウイルス感染症

ハンガリー出身の科学者カタリン・カリコは、大学卒業後RNAの研究をしていた。人間の体の細胞(約37兆個)の1つ1つで、DNAとRNAが働いている。RNAは遺伝情報のコピーなどが仕事。1970~80年代、RNA研究は未知の領域だった。1985年、ハンガリーが不況になり研究費が打ち切られたため、家族とともにアメリカに渡った。1990年、カリコはアメリカの研究グループがマウスの筋肉にmRNAを注射してたんぱく質を作ることに成功したことを知り、mRNAを医療のために役立てる可能性について考えた。しかし、カリコ以外の科学者はこの研究成果を見向きもしなかった。1997年、カリコは免疫学者のドリュー・ワイスマンと出会い、mRNAの共同研究を始めた。人工のmRNAを細胞に加えると細胞が拒絶反応を起こし死滅してしまうという問題があったが、化学修飾という技術でこれを乗り越えた。その後、カリコはドイツの医薬ベンチャーにヘッドハンティングされ、mRNAを使ったがん治療薬やインフルエンザワクチンの開発に着手し、アメリカで臨床試験をスタートさせるなどしていた。そして2019年12月、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が始まった。カリコは中国から送られてきた新型コロナウイルスの遺伝子配列を見て、mRNAが使える可能性があると思い、mRNAワクチンの開発を始めた。mRNAワクチンは、突起たんぱく質の遺伝情報のコピーをリボソームへ送り、突起たんぱく質が細胞の外へ出ていき、免疫反応を授けた後は分解して消える。このワクチンの開発を目指していたビオンテックは米大手製薬会社・ファイザーと提携、大規模な治験や大量生産が可能となり、わずか1年足らずで実用化に至った。

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副反応やブレイクスルー感染など、mRNAワクチンに対して懐疑的な声もある。mRNAはまだ提供されて2年も経っておらず、長期にわたる副作用や副反応などの影響がまだ見られていないため、まだ手を挙げて安全だとは言い切れない状況。こうした不透明な部分はあるが、mRNAワクチンは今までの感染症用のワクチンに比べ、時間とコストが格段にかからず、難病治療への応用も期待できる革命的なイノベーションになるとも言われている。日本でも国産mRNAワクチンを開発中。

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(エンディング)
エンディング

エンディング映像が流れた。

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