2023年12月9日放送 2:54 - 3:45 NHK総合

NHKスペシャル
選 新・ドキュメント太平洋戦争1943 国家総力戦の真実 後編

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オープニング

オープニング映像。

新・ドキュメント太平洋戦争1943【国家総力戦の真実 後編】

戦時下を生きた個人の日記などのエゴドキュメントを手がかりに、国家総力戦の真実に迫る。

新・ドキュメント太平洋戦争1943【国家総力戦の真実 後編】
エゴドキュメント

亜細亜や太平洋の広大な地域を占領下においた日本軍だったが、連合国軍が反撃を開始すると劣勢に立たされた。戦況の悪化は隠しきれなくなっていたが、東京の新聞社に勤めていた森正蔵はアッツ島の戦いで日本軍が全滅したあと国民を鼓舞し愛国心を高める記事を書いていた。この頃新聞などにスローガンが頻繁に現れるようになった「玉砕」「鬼畜米英」など戦意を高揚させる言葉は、人々の日記の中にも浸透していた。今回集めたエゴドキュメントは1900人分、19万3481日分にのぼる。そこから戦意高揚に用いられた言葉を抽出し時系列に沿って並べると、1943年から6月から11月にかけて右肩上がりで増えていた。京都の呉服店で働いていた竹鼻信三は1943年、陸軍の兵器工場に徴用された。日記には「重大使命を思い一徴用工員の本分を尽くさん」「くにの為、昔の夢は皆すてて職場に生きん今日の喜び」などと綴られていた。この年国は国家総動員法に基づく徴用を拡大し、兵役についていない市民を強制的に動員していった。竹鼻は自分の店を持つことが夢だったが、その気持は押し殺すことにした。

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ブーゲンビル島 パプアニューギニア

徴用された市民の働き先は戦地にも広がっていた。日本軍は連合国軍との戦いの前線となっていた南太平洋のブーゲンビル島に飛行場を建設し、連合国軍を食い止めようとした。山本五十六の搭乗機は米軍機の待ち伏せ攻撃に遭い撃墜された。海軍設営隊は物資や食料の不足に苦しんだ。18歳の技術者・赤羽恒男の手記には「物資の補給は途絶えヘビやトカゲを捕まえる」「迎撃に飛び立った戦闘機が爆弾で大穴だらけの滑走路へ戻ってくる」「破壊されたゼロ戦の機体に悔しさで胸が詰まった」などと綴られていた。アメリカは日本の輸送を絶つ作戦に乗り出し、船は次々に沈められていた。

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動員強化

激しい消耗戦で戦力が失われ、国は動員強化に動いた。これまで戦場からの離れていた若者や子どもたちに目を向け、海軍は彼らを海軍のパイロットとして育成しょうと宣伝に力を入れた。海軍の教育機関で空を目指す飛行予科練習生の姿が繰り返しメディアで紹介された。海軍は志願の条件を一部見直し、対象年齢を15歳から志願できるように引き下げた。佐賀の中学校に通っていた於保昌二の手記には「勇壮なポスターの掲示を見ても我々は特段の関心を示さなかった」「中学生が空の勇士を希望する、それは英雄を冒涜する様なものとしか映らなかったのである」などと綴られていた。於保は兵士として戦うよりも学業を優先したいと考えていた。

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国からのノルマ

長野・中川村には予科練の志願者をどう集めていたかを明かす資料が残されていた。記されていたのは国から村に割り当てられたノルマだった。志願と言いながら、市町村には目標の達成が求められていた。資料を残していた役場職員の平澤善吉は、学校とともにノルマを果たそうとしていたことを日記に書いていた。福岡の朝倉中学校校長・石飛朋一は生徒を集めて志願を呼びかけたあと、「私にも子供が二人この中に居る」「これらの意志は既に聞いている」「二人共直ちに応じて呉たので安心をした」と続けた。我が子を送り出すという校長の言葉に、生徒たちは次々と手を挙げた。その数は生徒の8割にのぼった。教師の中には教え子を戦地に送り出したくないと口にする者もいた。親や教師たちが抱える葛藤をよそに、新聞は石飛校長の学校で志願者が続出したことを大々的に報じた。1943年秋、学徒出陣が決まりこれまで徴兵が猶予されていた大学生が戦地に送られることになった。於保の学校では、予科練に入った卒業生が生徒たちに入隊を勧めた。その卒業生に湧くクラスの生徒たちの興奮に、予科練を志願するつもりがなかった於保は肩身の狭さを感じていた。

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タラワの戦い

11月、中部太平洋でアメリカ人の対日観を一変させたと言われているタラワの戦いが始まろうとしていた。アメリカ軍は日本軍の基地があったタラワ島に狙いを定めた。日本軍4601人に対し、アメリカ軍は18600人。タイム誌の記者、ロバート・シャーロッドはこの戦いに同行した。アメリカのタラワ島攻略作戦には撮影隊が同行し、カラーフィルムで記録した。11月21日にアメリカ軍は猛攻撃を仕掛けた。圧倒的な戦力で日本軍を壊滅させたと思い込んだアメリカ軍は上陸作戦を開始したが、機関銃の集中砲火を浴びた。アメリカ軍は火炎放射器で日本軍の塹壕を焼き払うも抵抗は続き、日本兵は爆弾を抱えてアメリカ軍の戦車部隊に自爆攻撃を仕掛けてきた。恐怖を覚えたシャーロッドは「日本人はここで殲滅しなければならない」「その過程で何十万人ものアメリカ人が死ぬかもしれない、しかしそれが唯一の方法だ」などと残している。アメリカもまたメディアを使って日本への敵愾心を煽り立てていった。連合国の首脳会談が開催され、日本が無条件降伏するまで戦い抜くと宣言された。

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絶対国防圏

日本は戦線拡大の方針を見直し、本土を防衛するため絶対に確保すべき範囲に戦力を集中することにした。これによって国防圏の範囲外とされた島々は孤立し、連合国軍の攻撃にさらされることになった。その一つ、ブーゲンビル島にいた赤羽恒男は所属する設営隊を帰国させると伝えられた。ジャングルを抜け180キロ先にある輸送船との合流地点にたどり着くも、輸送船は来ないままだった。部隊の幹部は密かに脱出し、赤羽たちはジャングルに取り残された。多くの人たちが飢えと疫病で命を失った。一方新聞は相次ぐ玉砕を美談として報じ、人々の戦意を煽り続けた。弟が予科練に志願した教師、佐藤禮子は「一機でも多く飛行機を送ることができたら」などと戦争協力の決意を新たにしていた。

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茨城 霞ヶ浦

茨城県霞ヶ浦。12月、予科練の子どもたちは訓練に励んでいた。この年は3万1749人と急拡大した。教師をしていた佐藤禮子の日記には予科練入隊したときの弟・健一郎の姿が書かれていた。健一郎が存命であることがわかり、話を聞いた。予科練に入ることは家族のためにと考えていたという。その後、上官から特攻隊という言葉を聞き、一人一殺、自爆攻撃をと言われたという。

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(エンディング)
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