エルドアン大統領にとってイスタンブールの市長選は負けられない戦いだった。BBCによると、トルコ最大の都市イスタンブールには全人口の5分の1に近い約1600万人が暮らし、イスタンブールを掌握すれば貿易・観光などトルコ経済の大部分を握ることになるという。そのためエルドアン大統領は自ら選挙戦を指揮するほどの熱の入れようだったという。しかし結果は与党の敗北となった。その要因としては高いインフレ率が続く経済運営への不満、強権的なエルドアン大統領への反発が反映されたとされ、求心力低下が露呈する結果となった。一方で、勝利したイマモール市長(52)は、イスタンブール大学で経済を学んだ元実業界で、2019年の市長選に勝利後、政権に対し強い姿勢をみせ不満の受け皿となった。去年の大統領選では有力候補とみられるも占拠点の半年前に公務員を侮辱した罪で有罪判決となり出馬を断念していた。今回の選挙結果について、中東調査会・主任研究員の金子真夕氏はトルコの有権者は政策の成果を評価し投票する、今回は経済政策に対する国民の意思が反映され、野党支持ではなく消去法的に選んでいる一面もあるなどとコメントしている。吉永さんは、消去的な投票行動であってもそのことでエルドアンさんの強権的政治に歯止めをかける意味も考えうるかもしれないなどとのべた。