NHKニュース おはよう日本 (特集)
昨年度にクマに襲われるなどの被害を受けた人は全国で219人と過去最悪になった。今年は8月末時点で去年よりも人身被害は少ないものの、出没件数は去年より多いペースで推移している。例年被害や出没が増えるのが9月から11月にかけての時期だという。今月、群馬県の山林で野生動物の管理を担当する全国の自治体の職員を対象に実習が行われ、専門家からクマの痕跡の特徴や出没時の対応などを学んだ。クマの人里への出没にはブナやコナラなどドングリの実り具合が影響しているという。クマは冬眠前のこの時期に山のドングリを食べて栄養を蓄えるが、ドングリが不作だと餌を求めて人里に現れる。東北地方に多いブナは被害が相次いだ去年は凶作だったが、今年は例年並みや豊作となっている。一方西日本では凶作が多い傾向は今年も変わりない。さらに西日本で多いコナラは去年より凶作が多いことも分かった。小池教授は「近畿などコナラの実りが悪いところはあと1か月くらいはクマの出没に注意が必要」などと話した。
クマによる人身被害のリスクを下げるための対策について。クマにGPS装置を取り付けて行動を調査した。クマがいたのは見通しの悪いやぶの中。以前は畑などがあったが、手入れする人がいなくなり草や木が生い茂っていた。そこでやぶを数十m四方にわたって刈り取って見通しをよくすると、刈り取った場所ではクマが長時間滞在していたことを示す点がなくなっていた。瀧井助教は自宅の周辺や通学路などピンポイントで刈り取る対策でも効果があると指摘する。小池教授によると「来月までクマの出没に注意が必要。柿や栗などは早めに収穫し、生ゴミを外に放置しない」と指摘している。