ワールドビジネスサテライト (ニュース)
セブン&アイ・ホールディングスの創業家による買収案をめぐって買収への参加を検討していた伊藤忠商事が一転して断念する方針を固めたことが分かった。ある交渉経緯を知る関係者によれば出資に前向きだった伊藤忠商事の岡藤会長は創業家側への出資を断念する意向を示した。カナダのコンビニ大手から7兆円規模の買収提案を受けているセブン&アイホールディングス。買収に対抗する形でセブンの創業家の伊藤家が非上場化を目的にしたMBO(自社による買収)を目指している。最大の壁は巨額の資金調達。創業家が目指しているMBOはカナダ側を上回る8兆円から9兆円規模とされる。メガバンク側は融資に応じる姿勢を示しているが合わせて4兆円ほど。残る4兆円規模の調達は海外ファンドや伊藤忠を中心とする企業からの出資で賄いたい考え。今月6日、正式に買収の検討を表明した伊藤忠だったがその後との出資を巡る交渉に変化が。別の関係者によれば、伊藤忠が検討している出資額はおよそ1兆3000億円。買収後の株式30%強を手にしたいと考えているという。それにより買収後の取締役の構成などで経営に強い影響を及ぼしたいと考える伊藤忠側。一方、伊藤家側は、その持ち分では経営の主導権は渡せないと難色を示したとみられる。傘下にファミリーマートを抱える伊藤忠。経営に強い影響を及ぼさないとセブンイレブンとのシナジーを発揮できないと考えたのか。セブンの関係者は「創業家による買収はディールブレーク(破談)になる可能性すら出てきた。現状維持でカナダの買収提案に立ち向かうことになる」という。