首都圏ネットワーク (ニュース)
各地で甲子園をかけた熱戦が繰り広げられている夏の高校野球。長野県の茅野高校3年の池田福太郎が所属する野球部は部員が僅か2人。普段は2年生の後輩と練習に励んでいる。池田は部に入るまで野球の経験はほとんどなかった。そんな池田を入部当初から指導してきた松本弘夢先生は小学校から大学まで野球一筋。茅野高校に赴任し念願だった野球部の監督になったが、当時の部員はなんとゼロ。そんなとき声をかけてきたのが担任を受け持つクラスの池田だった。野球経験がなく、ほとんどゼロからのスタートだった池田に、松本先生は野球のルールやボールの握り方など基礎から手取り足取り教えていった。最初はバットの構え方も分からなかったが、今では鋭いスイングを見せるようになった。週末は大会に向け連合チームでの練習試合があった。阿智高校、蘇南高校との連合チーム。最上級生である池田にはチームを引っ張る役割が求められる。声でもプレーでもチームを盛り上げた。迎えた夏の大会初戦、7番レフトで先発出場した池田。第1打席は相手にリードを許して迎えた2回表。公式戦初ヒットをねらったが打ち取られてしまった。その後、チームは12点差をつけられ、5回の攻撃を迎える。この回に3点を返さないとコールド負けとなる中、池田に第2打席が回ってきた。池田はデッドボールで出塁。このあと2つのフォアボールとデッドボールで池田がホームイン。これがこの日、チーム唯一の得点となった。松本先生とともに歩んできた池田の最後の夏が終わった。ゼロからスタートした高校野球は、恩師と過ごした大切な時間となった。