報道特集 (特集)
働き控えを招く「年収の壁」。専業主婦の世帯が多数を占めていた時代にできた制度に長年悩まされてきたのが女性たち。中にはこの制度に対し20年以上前から、時代に合わせて変えるべきと声を上げてきた女性もいる。彼女たちの葛藤を取材。大学生と高校生の子供を持つ女性は、13年前から保育園で働き始め3年前に保育士資格を取得。時給も上がったが、いわゆる「年収の壁」に到達しないよう、働くことを控えざるをえなかった。そもそも人手不足が深刻な保育業界では年収の壁が大きく雇用に影響するという。社会福祉法人「風の森」統括・野上美希さんは「全体としても非正規の方が3割ぐらいいるような業界。壁があることで働き控えをしてしまう保育士さんが多い現状は、非常に難しいと感じている」と述べた。
「年収の壁」を巡っては衆議院選挙で、国民民主党・玉木雄一郎代表は「雇っている側も困っているし、働く側はもっと働ける、稼げるのにそれを妨げている“103万の壁”」とうったえた。少数与党の石破内閣は、壁の解消を強く訴えてきた国民民主党の求めに応じ、きのう「年収103万円の壁」を引き上げることなどを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定。石破総理は「賃金、所得を増やしていくよう、全力を尽くしていく」と述べた。だがこの長きにわたって崩れなかった年収の壁は、夫は外で働き、妻は家事とパートという昭和の働き方に起因するとも言われてきた。令和となった今も壁の高さを感じ働く女性たちの思いとは。