首都圏ネットワーク オシたび
横浜放送局の越田穂香キャスターが神奈川県西部の愛川町を散策。愛川町はその中心に大きな川が流れ豊かな水がさまざまな恵みをもたらしている。都心からは車でおよそ1時間の距離にあり、人気観光地の1つが宮ヶ瀬ダム。湖にためられる水の量はおよそ2億トンと首都圏でも最大級のダムだ。観光客が楽しみに待っていたのが、週に2回ほどの観光放流。およそ70メートルの高さから流れ落ちる水の量は毎秒30トン。至近距離でダイナミックな放流を楽しむことができる。そしてこの時期、ダムの下流の中津川の風物詩が今月解禁されたアユ釣り。地元の漁協の釣り名人、石崎裕に教わりながら初挑戦した。挑戦するのは生きているアユをおとりにする友釣り。自分の縄張りに入ってきたら追い出すというアユの習性を利用して釣り上げる。糸の先に付けた目印と手に伝わる感覚を頼りに待ち続けること1時間。まだまだ小ぶりながら釣り上げることができた。川のほとりにある店では炭火でじっくり焼かれたアユの塩焼きを食べることができ、川の恵みをたっぷり味わえた。中津川の豊かな水、実は町の産業も支えてきた。明治時代末期から糸の生産が盛んで、最盛期には川沿いに300を超える水車が設けられそれを動力に機械を動かして糸をよっていた。現在、工場は大幅に減ったが確かな技術は受け継がれている。ことしで創業130年の糸を生産する会社で特別に工場の内部を見せてもらった。糸をよる作業を繰り返して最終的に1本の丈夫な糸に仕上げる。染色の工程では今も昔も頼りにしているのは愛川町の水の恵み。染料を混ぜ合わせるのに湧き水を1か月で40トン以上も使っている。こうしてできた丈夫でカラフルな糸は服やかばんにとどまらず車のシートなどにも使われている。今この会社が力を入れているのがSDGs。製造過程で生まれる品質に問題はないのに長さが足りず商品にできなかった端材の糸。これらをカラフルな靴ひもやアクセサリーなどにリサイクルしている。この会社では町のイベントなどで端材の糸を使ってアクセサリーを作る体験会を開いて糸のまちの文化を伝える活動も行っている。愛川町のさまざまな水の恵みを実感した旅だった。