グッド!モーニング 7時のニュースまとめ
吉田選手は日本中の注目を集める存在になったがこの1年間で劇的な変化を遂げていた。金足農業に入学し1年生の秋からエースナンバー1を背負ってきた吉田はその責任感から自分ばかりかチームメイトにも厳しい態度で接していた。金足農業キャッチャーの菊池は「周りに気を配れず周りから気を使われているような感じだった」と話す。仲間がミスを犯した場面ではフォローの声をかけることはなく時には厳しい視線を向けてしまうこともあった。チーム内で吉田は近寄りがたい存在になっていた。そんな孤高のエースを変えたのが去年夏の秋田大会、決勝戦での1日。先発した吉田は自慢のストレートを打たれ6回で途中降板。試合も5対1で敗れた。「1日中泣いているくらい悔しかった」と自分を責めた吉田だが試合後、学校に戻った同級生の全員が猛烈に素振りを始める姿を目にする。当時の思いについてチームメイトは「吉田頼みというところがあった。自分のレベルも上げていこうと思った」と話した。このとき吉田は仲間を信じようという思いが生まれた。甲子園出場に向けて雪道の走り込みもウエイトトレーニングもチーム一丸となって耐え抜いた。そして迎えた甲子園の舞台、そこにはかつて孤高のエースと呼ばれた吉田の姿はなかった。投げては1回戦から4試合連続2ケタ奪三振の活躍でチームに勢いをもたらすと準々決勝の近江戦ではチームも奮起し、サヨナラスクイズを決めるなど機動力を活かして吉田の好投に答える。吉田の変化は準決勝でも、1点リードして迎えた9回1アウトの場面で完全に打ち取った当たりだったがファースト高橋の判断ミスで同点のランナーを出してしまう。思わぬピンチにナインはマウンドへ。すると吉田は笑顔を見せリラックスさせた。決勝で大阪桐蔭に敗れ準優勝に終わったが吉田は「高校野球はたくさんの出会いの場をくれる場所。自分をかなり成長させてくれた。最高のチームに出会えてありがとうと言いたい」と大会を締めくくった。
チーム一丸で快進撃を続けた金足農業。決勝の翌日にもチームの仲の良さを象徴する出来事があった。決勝から一夜明けた早朝、佐々木キャプテンが予定より早く目が覚めたためにバッテリーが宿泊している部屋に忍びこんだ。佐々木キャプテンは寂しくなってと話したが寝ている吉田投手のベッドに潜りこんだ。寝起きドッキリに吉田投手が大きな声をあげると3年生全員が聞きつけ自然とチームメイトたちが集まってきた。そして今後の吉田投手は「まだ現時点では考えていないがいずれはプロ野球選手になって活躍したい。巨人に行きたい」と話した。(日刊スポーツ)