時論公論 (時論公論)
高額療養費制度は患者の医療費負担が重くならないよう、年齢や年収に応じ、ひと月あたりの自己負担に上限を設けているもの。同制度の見直しをめぐり、政府は、ひと月あたりの負担の上限額を段階的に引き上げる方針だったが、患者団体、野党から見直しを求める声が相次いだ。石破総理は8月からの引き上げは予定どおり行うとしていたが、引き上げを見送り、国会で「判断に間違いがあった」と陳謝した。厚生労働省が有識者、医療関係者などで作る部会に見直し案を24年11月下旬に示したが、部会には患者団体から意見を聴くヒアリングは行われなかった。全国がん患者団体連合会が行なったアンケートでは「現在の支払いでもギリギリ、医療費の引き上げで治療が続けられなくなるかも」といった切実な声が聞かれる。今後、今秋までにどのような制度がつくれるか、負担をどう分かち合うか、医療の質を保ちながら効率化、適正化を図っていくのか、具体的な検討が求められる。