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北海道日高町で生まれ育った90歳の男性が、ワインを地域の新たな名産品にしようと6年前からブドウの栽培に取り組んでいる。日高町に暮らす馬場幸一さんは、現在無農薬で800本以上のブドウの木を一人で育てている。年を取ってからやりだして大変だが、形になるまでやってみたくてと話す馬場さん。新たな挑戦のきっかけは、人口減少などで生まれ育った地域に活気がなくなっていると感じたことだという。馬場さんは79歳まで技師として働いていたが、仕事を辞め地域のために貢献したいと考えた。84歳で一念発起し、北海道がワインの産地として注目を集めるなかでふるさとからも愛されるワインを生み出すことを新たな夢にした。自ら重機を動かし畑作りから作業を開始、若い頃に農業に携わったことはあるがブドウ作りは未経験だった。本を読んだり講習を受けたりして知識を身に着けながら試行錯誤を続けていたが、去年体調を崩すという壁にぶつかった。療養生活を強いられている間に、畑の約9割が鳥や虫の被害に遭ってしまい諦めかけたという。気落ちしている馬場さんを支えたのは家族だった。一緒に暮らす息子が、被害のなかったブドウの身を摘み取りプレゼントしたケーキに乗せて励ました。
体調が回復した馬場さんは今年は毎日畑に通い、ブドウは順調に育っているという。今月待望の収穫の日が訪れ、作業を手伝うために家族や友人など10人以上が集まった。収穫量は商品化に向けて目標としていた500キロを初めて超えて、手塩にかけたブドウは大地の恵みを受け質のよいブドウだと評価された。日高町の自然が感じられる口当たりの優しいワインとなることを馬場さんは期待し「つまずきながらでも、なんとか夢に近づいてきているので体の動くかぎりワイン造りに挑戦します」と話した。馬場さんのワインは来年6月頃に出来上がる予定とのこと、フランス語で「90歳の挑戦」という意味の名前をつけると考えているとのこと。