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吊り下げ式の横に引くシャッターのトップメーカーが東京の下町にある。従業員は30人ほどで、年齢に関係なく働けるため高齢者の割合が多く、社員の3割が65歳以上。日本は総人口に占める高齢者の割合が29.1%で世界トップだが、会社員の多くは65歳前後で定年を迎え、再就職しても給与が大幅に減るのが一般的。一方、この会社では実質定年なしで何歳になっても昇給可能。高齢者雇用をしながら業績を伸ばしている。この会社に密着し、高齢者が活躍できるヒントを探る。
シャッターの設計士の3人はそれぞれ別の会社を退職した後、この会社に入った。最高齢の金井さんは82歳。元は電力会社で原子力施設関連の設計をしてきた一級建築士。シャッターの設計は以前は無料ソフトを使っていたが、金井さんは経験から大規模設計に向けたソフトウェアの導入を進言したという。金井さんが再就職先を探したのは76歳の時だったが年齢の壁にぶつかり、この会社を知って面接を受けて合格した。社長の市川さんは面接で金井さんには一目惚れだったというが、以前は高齢者雇用にマイナスイメージを持っていた。父で先代の文胤さんが78歳の人を採用しようとした時とまどい、入社を阻止するべく面接に立ち会ったが、思ったよりも若くて元気がよく、デメリットを感じなかったという。その平久さんは94歳で亡くなる2日前まで働き、伝説になっている。息子の伸二さんは「会社のおかげで死ぬまで働けた。外に出ていろんな人と会っていたのも長生きの秘訣なのかな」と話す。平久さんの活躍をきっかけに多くの高齢者が働く会社になったが、市川社長は高齢者を優先的に雇用しているわけではないという。給与形態も独特で、入社時は何歳でも同じ額からスタートし能力があれば年齢に関係なく昇給するシステム。
就職希望者は年間100名に上る。市川社長は面接では和を保てるかを見ているという。発熱してしばらく休む社員が出て、残りの2人に仕事が割り振られたが2人は平常心。いつも誰かが休むと対応するので大丈夫だという。経理・事務の横田さんは80歳でもうすぐ勤続35年でみんなに頼られる存在。通院のために週2回は早上がりしている。会社では通院や急な休みでも問題がないように相互扶助の体制を整えている。
この日、メーカーの担当者が依頼に訪れた。特殊な依頼のため様々な会社に断られ、この会社にたどり着いたという。一級建築士として複雑な設計も経験してきた金井さんは余裕の表情。さっそく試作品を作ることになり作業に取り掛かるが、金井さんのもとには次々と別案件や休みの人のカバーの仕事も舞い込む。金井さんは毎朝、仕事が始まる2時間半前にカフェでその日の仕事をメモし、その後は動画サイトでソフトウェアの勉強。50代から30年続けている習慣だという。同じ設計部で69歳の関根さんも金井さんに影響を受けている。甘党の金井さんは疲れると糖分を補給しラストスパート。基本設計図を2日で仕上げ、制作現場の意見を反映させていく。
多くの高齢者が働くこの会社では、去年から社員のモチベーションを高める福利厚生「夢をかなえようプロジェクト」が始まった。第一弾は金井さんが選ばれ、81歳にして憧れのスポーツカーに乗るという長年の夢を叶えた。一方、関根さんはSNSに投稿する会社のPR動画を撮影。工場では試作品の制作が始まった。
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この日、45歳の杉本さんが入社。現在4歳の息子が成人し、その後も働ける仕事を探していたという。実際に70代、80代が活躍しているのを見て心強さを感じたという。金井さんはまた新たなシャッターづくりに奔走していた。この会社が高齢者雇用で成功している一番の秘訣は年齢への偏見がないこと。6月で82歳になった金井さんは「通勤できるまで働こうと思っている。やりたいことが残っている」と話した。
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