2023年10月24日放送 0:35 - 1:20 NHK総合

スポーツ×ヒューマン
選 楕(だ)円の心 つながれて 〜ラグビー・松田力也〜

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(オープニング)
オープニング

ラグビー日本代表の松田力也は散髪が試合前のルーティンだという。まもなく開催のラグビーワールドカップ2023では日本はベスト4以上を目指している。松田は背番号10の司令塔スタンドオフを務める。前回大会では松田はベンチで「屈辱だった。絶対2023スタンドプレーの10番で試合に出るとエネルギーを燃やせるいいきっかけだった」と語った。1年前に大怪我を負ったが復帰を果たして臨んだ試合では本来の力を出せずに悔いを残したと話した。原点は亡き父との約束で父がいなかったら今はない、ラグビーで頑張ることが一番の恩返しだと話した。今夏の日本代表復帰戦では力が試さチーム勝利を導く真の10番になれるのか戦いを見つめた。

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(スポーツ×ヒューマン)
楕円の心 つながれて ラグビー日本代表 松田力也

所属の埼玉パナソニックワイルドナイツはリーグ1初代王者の強豪で松田はチームの中心選手として引っ張っている。チームの要スタンドオフでパスなどで攻撃の起点となる司令塔を務めている。松田は「トライを取らせるほうが好きなタイプ。アシストしてトライが生まれるのが好き」と話し視野の広さを生かしたゲームコントロールが武器。強豪サンゴリアスとの一戦では同点の後半20分に松田は密集から抜け出されたボールを受け取りアシスト、リードを広げ勝利した。松田は前半から相手DFの裏スペースが見えていて後半に狙いを定め味方に合図を送っていたという。一番頭を使うポジションで勝利に直結する判断などをしないといけない。チームが負けるのはスタンオフの責任でやりがいのあるポジションだと語った。もう一つの武器は全体練習後に必ず行うプレースキックで昨シーズンの成功率は85.5%リーグトップ。五郎丸さんは「インタ-ナショナルで戦うにあたり安定感が大事になるが浮き沈みが小さいほどいい選手、安定してパフォーマンスを出し続けられるのが彼の強み」だと話した。松田は伏見工業高校時代でキャプテンを務め高校日本代表としても活躍、帝京大学では1年からレギュラーで大学選手権4連覇を果たした。4年前のワールドカップでわずかな出場機会で大きな挫折をわい「次の大会に向けて自分の中でエネルギーを燃やせる言い聞かせるになった」などと話した。

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松田力也はチームの後輩と食事に行った。トングを離さず全部焼くという。人のペースで食べるのは好きではなく、自分のペースで行きたいためだという。食事中、松田力也は後輩たちに「どんな選手になりたいとかある?」などと問いかけた。その上で目標とする人と一緒にプレーできるのはいいが、真似から入ると真似をしていたら絶対に超せないなどと話し、自身は日本代表で田村優さんがゲームコントロールをするからそれを真似していたら試合に出られなかったなどと明かした。目標とする選手を目指すだけではその先には行かれない。その後日本の10番として手応えを掴んでいった松田。巧みなゲームコントロールに正確なキック。磨き上げた武器を周囲も認めるようになってきた。ところが、その矢先ワールドカップを1年後に控えた去年、左膝の前十字靭帯を断裂。復帰まで1年近くかかることもある大怪我だった。松田は手術とリハビリで戦線を離脱。その間、日本代表は世界の強豪とテストマッチを重ねていった。けがの間、日本代表を心の底から応援できない心境にあったという。勝ってはほしいけど自分がいない日本代表が勝っても嬉しくはなかったという。早く戻りたい、プレーしたいと言う気持ちでリハビリに臨んでいたという。3ヶ月間リハビリに通い続けた。困難にぶつかるたびに松田の背中を押してきた言葉は「負けて帰ってくるな」。これは父の言葉。元ラグビー選手の父の影響で松田は6歳でラグビーを始めた。11歳のクリスマス、ラグビースクールの試合で肩にけがをした。当時飲食店を経営していた父。1年で最も忙しい時期だったが、息子のために試合と病院に付き添っていた。帰宅後、仕事前に仮眠をとると寝室に向かった父親。そのまま帰らぬ人となった。くも膜下出血だった。松田選手はその日ずっと泣いていたといい、自分がけがをしなければ違う未来になっていたのではないかと思っていたという。悲しみの中、松田に前を向かせたのは父がつないでくれたラグビーだった。父を超えることが目標になった。父親の友人らが支えてくれたから今があるとし、ラグビーで頑張ることが恩返しになるなどと松田力也は語った。3月、地元に戻り、父の墓まいりをした。挫折を乗り越えて目指す2度めのワールドカップ。全回見せられなかった姿を父に見せることが支えになっている。

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4月中旬。松田のワイルドナイツはプレーオフ進出を決め、グラウンドにはアシスタントコーチのトニー・ブラウン氏も足を運んでいた。そして、5月20日には強力なフォワードを擁するスピアーズとの決勝戦を迎える。しかし、この日の松田は立て続けにキックをミスするなど精彩を欠いたことで途中交代を喫するとともにチームも優勝を逃す結果に終わった。松田の心残りというプレーはタックルしてくる相手の進路を予測できず頭を強打してしまう逆ヘッドという状態になったことだといい、頭への衝撃を受けてしまったことが精彩を欠いた背景にあると悔やんでいた。松田はリハビリ期間中厳しいトレーニングを重ねた京都へと足を運び、当たり負けない身体を鍛え直す事を心がけていた。日本代表に選出された松田は「これまでラグビーできているのはたくさんの人がいたから」と出会った人への感謝するとともに、丁寧にファンサービスを行う姿も見せている。あんな人になりたいと思ってもらうことがラグビーを愛してもらうきっかけになることがあるという。

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ラグビーワールドカップまで2ヶ月となり、国内で強化試合5試合が組まれた。初戦の会場には2万人を超える観客が駆けつけた。松田選手は先発出場し、キックにタックルに活躍を見せたが、2試合目以降は李承信選手がスタンドオフで出場した。松田選手のケガ中に急成長しているとのこと。松田選手はリザーブが続き、強化試合で日本は連敗続き。苦しい状況で迎えた第4戦では、松田選手はまたもリザーブだったものの、「試合に出たら絶対やってやる」という気持ちで試合に臨んだ。松田選手の出番は後半7分から。相手の疲れを見抜き、ラインアウトを獲得すると狙っていたプレーのサインを出して見事トライを演出した。その後もテンポある攻撃を展開した松田は、日本の今季初勝利に貢献した。そして国内最終戦では見事先発の座を奪い返した。松田選手は渡仏前、父親のお墓参りを行い、「一番近いところで見てくれていると思うから思い切ってやりたい」などと意気込みを語った。

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