2023年7月15日放送 9:30 - 10:00 NHK総合

ドキュメント72時間
兵庫・西宮 “マンボウトンネル”にて

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(オープニング)
オープニング

兵庫県西宮市には「マンボウトンネル」と呼ばれる場所がある。高さ約130cmのトンネルで、かがまずには通れないが、ひっきりなしに人が行き来する。マンボウトンネルが人を引き寄せる理由とは。3日間、カメラを据えた。

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西宮市(兵庫)
兵庫・西宮 “マンボウトンネル”にて
5月28日(日)

阪神甲子園球場からほど近い住宅街の、JR神戸線の線路下にマンボウトンネルはある。まずは北側から入ってみる。電気は点いているが結構暗く、狭くて歩きづらい。長さは25m、20秒ほどで南側に到着する。自転車で来た親子がいた。お母さんは子どもの頃からここが地元だという。お子さんはお母さんがきのうトンネルの天井に頭を打ってしまったことを教えてくれた。これから、阪神にハマるお子さんへの早めの誕生日プレゼントとしてバットを買いに行くとのこと。続けざまに人がトンネルを訪れたが、トンネルの前で待機していた。中から出てくる人を待っていた模様。中ですれ違うことができないので、先に入った人を待つのがルール。走ってトンネルを抜ける男性に声をかけた。前かがみになると走ってしまうという。男性は別のトンネルの存在を教えてくれたのでそこに向かってみると、歩いて5分ほどのところにあった。こちらは余裕がある大きさで通りやすそう。マンボウトンネルに戻ると、自転車の4人組が通ろうとしていた。ショッピングモールに娘さんの文房具を買いに行った帰りだという家族だった。このトンネルには愛着を持っているとのこと。夕方4時過ぎ、トンネル内のゴミ拾いをしている男性がいた。男性は子どもの頃から50年以上近くに住んでいる元中学校教員で、週2回ほど行っているという。いつの間にかマンボウトンネルと呼ばれるようになったとのことで、名前の由来は地元の人たちもよく知らないらしい。マンボウトンネルは田園地帯の用水路として明治時代に造られた。その後、周囲が住宅地に変わる中、生活道路の役割を担うようになった。夜8時、トンネルをのぞく2人組がいた。近くの中華料理屋さんでご飯を食べてきた帰りだという。近くに越してきたばかりの頃は物珍しさでマンボウトンネルを通ったこともあったが、最近は通らないという。夜9時過ぎ、トンネルから自転車を押す女性が出てきた。イチオシの若手演歌歌手のイベントに参加するため大阪まで行ってきた帰り道だという。女性はCDを何枚も持っていた。トンネルは24時間通れるが、日付が変わると人通りはほぼなくなった。

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西宮(兵庫)辰巳ゆうと阪急西宮ガーデンズ阪神甲子園球場
5月29日(月)

撮影2日目。朝6時前、早くもトンネルに向かう人が。平日はほぼ毎日トンネルを通るという。続いて、反対側から男性が出てきた。小学校の先生だった。月曜日はしんどいという。8時を過ぎるとトンネルは通勤ラッシュ。多くの人が行き交った。午前11時頃、トンネルに入ろうとする人に声をかけた。スーパーマーケットに向かっているが、時間を節約するためトンネルを利用するのだという。時間を節約する習慣は福祉の仕事をしていたときに身についたもの。お昼すぎ、雨が降ってきた。そんな中、1人の男性が。買い物帰りだという男性は、小さい頃はかがまずにトンネルを通れていたことや、28年前の震災でやるせない思いをしていたときにこのトンネルが不意に目に飛び込んできてホッとしたことなどを話してくれた。地元の人それぞれに、それぞれのマンボウトンネルの記憶がある。

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西宮(兵庫)
5月30日(火)

撮影3日目。自転車で来た女性に声をかけた。腰が痛めていて、病院に向かう途中だという。帰りに立ち寄る予定のパチンコを楽しみにしていた。午後3時過ぎ、1人の女性がいた。今中学生の息子さんが幼稚園のころ、帰り道に2人で電車の音を聞くなどしてここで時間を過ごしていたという。続いて、犬を連れた女性がいた。冒険好きな犬はトンネルに入りたがっていたが、女性は引き止めていた。突然少年が声をかけてきた。午後3時過ぎに訪れた女性が話していた息子さんだった。お母さんに聞いて、スタッフと話しに来てくれた模様。少年は恋愛(片思い)をしているが、お母さんには恥ずかしくてそのことをまだ伝えていないという。少年はお母さんと電車の音を聞いたことは、今でも覚えているということで、その思い出も話してくれた。将来は電車の設計図を作る仕事に就きたいという。

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西宮(兵庫)
5月31日(水)

撮影4日目。ゆっくりとトンネルに入っていく女性がいた。頻繁にトンネルを利用しているとのこと。トンネルを通ると、なんか嬉しい気分になるという。主人が定年後にがんで亡くなり、老後の夫婦旅行が叶わずじまいだった。落ち込む日も続いたが前を向こうと、日々の出来事を大切にしている。このトンネルが楽しみの一つとなっている。感謝の気持ちを胸に、日々を過ごしている。不思議と残り続ける街角の異空間、マンボウトンネル。前かがみで抜けた先で、心新たにそれぞれの道を歩き出す。

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西宮(兵庫)
(エンディング)
次回予告

ドキュメント72時間の次回予告。

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