2023年11月19日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
暮らしは企業活動は どう考える?「経済安全保障」

出演者
山下毅 星麻琴 
(オープニング)
オープニング
(日曜討論)
コーナーオープニング

暮らしは企業活動は どう考える?経済安全保障。

日本の経済安全保障 現状は 課題は

経済安全保障は経済上の措置を講じ国の平和と安全や経済的な繁栄等の国益を確保することを指し、サプライチェーン強化や先端技術の開発などがあたる。16日、IPEFの会合が開催され重要鉱物のサプライチェーン強化に向けて新たな定期会合を立ち上げることで合意した。自由民主党・高市早苗氏は日本が自立性を確保し優位性・不可欠性を確保することが課題などと話す。第一生命経済研究所・熊野英生はここ5~6年の日本・世界は危機に瀕している、自由貿易が変容してしまわないか時として経済活動と安全保障が対立することがあるので極力抑える考え方が自由貿易の考えからすると重視されなくてはならないなどと話した。早稲田大学・戸堂康之氏は中国の依存が大きい、安全保障を守るためには半導体関連の重要物資の対中輸出を減らすべきなどと話した。

キーワード
インド太平洋経済枠組み日本貿易振興機構早稲田大学明星大学第一生命経済研究所経済安全保障
水産物輸入停止 対応は/”経済的威圧” どう対処?

16日、日中首脳会談で岸田首相は習近平国家主席に水産物輸入停止の即時撤廃を求めた。こうした中国の輸入停止措置は経済的な威圧行為の典型的な事例の1つとされ不買運動などの一方的な経済的措置を行使して圧力をかける。細川昌彦氏は外交カードとして考える、撤廃要求だけでは解決しづらく世界貿易機関への提訴も考えるべきなどと話す。戸堂氏は販売先を多様化し、切り替える体制を構築すべきなどと話す。若松氏は日本貿易振興機構では中国以外の販路の開拓支援やプロモーションなどできうることはやっている政府の支援は必要不可欠だなど話す。細川氏は経済的威圧を受けにくくする構造、損害・被害を救済する、抑止力として対抗措置を用意しておく必要があるなどと話した。高市早苗は国際的な枠組みと情報共有してどう対応していくかなどと話した。

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インド太平洋経済枠組み世界貿易機関岸田文雄日本貿易振興機構福島第一原子力発電所習近平
サプライチェーン強化 どう進める?/半導体 安定供給は

政府が進める経済安全保障の具体策、1つ目は「サプライチェーン供給網の強化」。国民生活に欠かせず、特定の国や地域に供給を依存している物資を「特定重要物資」として指定し、安定供給に必要な支援を進めている。半導体やリチウム・レアアースなどの重要鉱物など11の物資が対象となっている。政府の行う重要物資の確保について高市さんは「この11物資は去年の12月に政令決定された。政令決定は閣議決定しなければならないが、それに先立ち9月に各省にサプライチェーン調査をかけてもらった。補正予算で1兆300億円以上のお金を付けてもらい取り組んでいる。具体的にはβラクタム系の抗菌薬は中国に100%依存していたが、一時供給が止まった際手術の延期などが国内で起こり、正常化するまでに1年かかった。そこで原料・製造など母核から国内で作り、現在2チームが携わっている。こういった国内で供給できるものは国内で作る。天然ガスなどそれが不可能なものは調達先を多角化する取り組みを進めている」とした。戸堂さんは特定重要物資の対象や範囲について「現状特定重要物資の定義が広い。例えば工作機械の中には半導体のように必要なものもあればそうでないものもある。そこを切り分けていくことが重要となる」と話した。細川さんはこれに対し「特定重要物資の定義が定められているのだから、私はそうは思わない。例えば工作機械の話もあったが、すべてを対象としているのではなく、日本が強く中国が狙っているような数値制御装置という特定部分を対象としている。ターゲットを絞るプロセスをきっちりとやっている」と語った。

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特定重要物資

重要物資の1つである半導体について。かつて日本の5割を占めていた日本企業のシェアは現在およそ1割にまで低下している。熊野さんは「90年代は日本は強大な競争力を持っていたが、世界の成り立ちが変わり、自分達の下請けですべてやれば良いという考え方から、他社や他国に分業しようという体制に日本は遅れてしまった。競争力強化が結局は自分たちを守ることになる。サプライチェーンを分散しても値段が上がってしまうダメージは回避できないので、半導体産業を育成しながら、原料の値段が上がっても産業全体が揺らがないよう高付加価値化が必要となる」などと話した。戸堂さんは「半導体に焦点を当てすぎても経済が揺らいでしまう」などとした。細川さんは「半導体は別格産業で他の産業とは戦略的に比べられない。他国でも半導体産業に大金を費やしている。この産業を日本が支援していくことは当然だ」などと話した。半導体国内生産への国の支援に関して熊野さんは「地域支援という観点ではプラスだが、これが競争力に結びつかないかもというリスクがあることにも目を光らせなければならない」などとした。若松さんは現場の企業の認識として「国内生産による特定国に依存しないサプライチェーンの再構築はメリットがある。日本企業が新たに海外進出するチャンスにもなる。グローバルサウスとの連携も今後重要になるため企業の関心も高まっている」などと話した。高市さんは「半導体不足の際、自動車の減算や医療機器の不足が起こる。この機会に国産体制を作らなければならない。また省エネにつながる高度な半導体も調達できる体制も経済安全保障上重要となる」などとした。

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技術流出 どう防ぐ?

技術流出防止について細川さんは「中国の軍民融合などの情勢で日本の技術が流出するリスクは非常に高く、韓国のように法規制をして日本も対応するべき」、「早急にセキュリティクリアランスを整備して国際的な共同研究に日本も参画できるようにするべき」など話し、熊野さんは「円安の影響で日本の技術者・研究者が賃金格差からさらに外国に引き抜かれやすくなっていて、まずは日本の技術者・研究者の賃金を上げて防止していくべき」、「ハイテク分野は軍事との関連の特定が難しく、AI技術を活用して企業に重要技術かどうかを判断させるのが良いと思う」など話した。戸堂さんは「中国の外資企業にたいしては強制的に共同研究を行わさせられる場合もあるため技術流出のリスクは高く、完全に防げない側面もあることから積極的にイノベーションを起こしていくことも大切」、「官民と連携した上で安全保障に関する技術については国が情報提供をするなどしてサポートするべき」など話し、高市さんは「多角的な観点から技術流出のリスクは様々あり、まずは企業が現行法で重要技術の管理を行ってほしい」、「セキュリティクリアランスは技術流出だけでなく日本国の情報保全制度の信頼度を高める目的があり、G7と同じように経済安全保障分野も含めて情報保全制度の信頼性を高める必要がある」など話した。若松さんは「日本はセキュリティクリアランス制度の整備で各国との情報連携や社員間の情報のやり取りが円滑化出来る側面がある」など話した。

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経済安保・企業活動 バランスは

熊野英生は、制度自体を透明化することが運用を柔軟化して企業にとっては経済活動を自由にする、そういうインフラづくりの透明性を高めるかということもルール作る以外に重要だと思うと話した。細川昌彦は、経済効率性からリスク対応へシフトしていかなければならない、そのための線引を官民が一緒にやっていくのが経済安全保障の根幹ではないかと思うなどとコメントした。若松勇は、中国は今後も重要な市場であることは間違いないのでビジネス機械は逸しないようにしなければいけないなどと話した。高市早苗は、基本方針には合理的と認められる限度で実施し規制の対象範囲を明確にして企業に予見性を持てるように書き込んでいる、企業との意思疎通は重要に考えているなどと話した。

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アメリカ合衆国商務省スモールヤード・ハイフェンス日本貿易振興機構早稲田大学明星大学第一生命経済研究所
これからの経済安全保障は

若松勇は、経済産業省や関係機関・団体とも協力してウェブサイトやセミナーを通じて最新情報を伝えたいなどとコメントした。熊野英生は、国同士の対話も重要なファクターだと考えるなどと話した。細川昌彦は、中長期で物事を考える・経済効率だけでなくリスク対応をする、こういう頭の切り替えが経営者に求められるのではないかと思うなどとコメントした。戸堂康之は、究極的には安全保障のために日本の経済力を上げることに尽きるなどとコメントした。高市早苗はどう中国に向き合っていくかを聞かれ、特定国をターゲットにしていないがリスクを最小化していくということに尽きるなどと話した。

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日本貿易振興機構早稲田大学明星大学第一生命経済研究所経済産業省
(エンディング)
エンディング

今朝は経済安全保障について高市大臣と専門家に議論してもらった。

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