2023年11月29日放送 16:15 - 17:00 NHK総合

歴史探偵
天下の名香 蘭奢待(らんじゃたい)

出演者
渡邊佐和子 佐藤二朗 
(オープニング)
今回は...

今回は正倉院に所蔵される宝物の1つ、香木の蘭奢待を特集する。足利義政、織田信長、明治天皇が求めたというその香りとは?

キーワード
明治天皇正倉院正倉院展織田信長足利義政
オープニング

オープニング映像。

(歴史探偵)
スタジオトーク

正倉院には聖武天皇ゆかりの品などが収められ、宝物の数は9000にのぼる。その1つが香木の蘭奢待で、火にくべたりすると、良い香りが漂う。

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東大寺正倉院聖武天皇蘭奢待
天下の名香 蘭奢待

正倉院から宝物を持ち出すには天皇陛下による許可が必要だが、ちょうど、蘭奢待の調査が行われていた。表面は樹脂に覆われ、熱を加えると樹脂が揮発し、良い香りを発する。科学調査の結果、ラオス、ベトナムから伝来したという。過去に織田信長、銀閣寺を建てた足利義政が表面の一部を切り取っている。義政と親交のあった志野宗信が香道の流派の1つ、志野流を創始し、蜂谷宗苾氏は21代目継承者。教えに六国五味があり、六国で香木を品質の違いによって6つに分類し、五味で香りを表現する。義政は香木の調査を指示し、「六十一種名香」にまとめられた。蘭奢待は最上級と位置づけられ、五味を網羅しているとされる。

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スタジオトーク

足利義政以降、香文化が広がっていく原動力となったのが香の遊びで、その1つが月見香。最初に1つの香りを聞き、その後に出てくる3つの香りが同じか、違うかを予想するというもの。佐藤二朗が予想したところ、1つミスした。

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月見香蘭奢待
天下の名香 蘭奢待

大河ドラマ「麒麟がくる」で染谷将太演じる織田信長が蘭奢待を入手するシーンが描かれている。当時、信長は畿内の制圧を進めていたが、従わない武士も多かった。そんな時に朝廷の許可のもと、蘭奢待を切り取り、天皇へ献上した。将軍がいないなか、織田信長が朝廷を支えていくことを示したといえる。大の香木好きだった徳川家康も蘭奢待も入手し、欣喜雀躍したと文献に記されている。幕府を開いた同年に正倉院の大規模な修復事業を命じ、5代将軍の綱吉は蘭奢待をおさめるためだけの唐櫃を寄進した。滋賀県の古刹、三井寺には蘭奢待の断片が残されていて、明治政府の官僚として文化財の保護に取り組んでいた町田久成がおさめたという。町田は明治天皇に命じられ、蘭奢待を切り取った人物でもあり、天皇が自ら裂き、焚いたとされる。

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スタジオトーク

織田信長は二切れ分の蘭奢待を入手し、1つは自分自身に、もう一方を天皇に献上した。天皇は外交手段として蘭奢待を使い、毛利らに渡った。最終的に徳川家康も手にすることになる。

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天下の名香 蘭奢待

23年前、正倉院の許可のもと、蘭奢待の化学成分を分析した結果が記された論文があり、検出されたクロモン類という化合物は伽羅に特有の成分。蘭奢待は伽羅に分類されるといえる。また、文献を渉猟すると、蘭奢待を聞いた時、はじめに杏仁の香りがするという。今回、貴重な伽羅の1つで初音と名付けられた香木から杏仁の香りを抽出し、蘭奢待を聞いた時の感覚に近い香りの再現に取り組んだ。山田大樹アナウンサーは試しに嗅がせてもらったところ、杏仁豆腐よりも複雑で、どこか上品さを感じさせる香りがしたという。菅原俊二氏は「あくまで杏仁が際立つ構成になっていて、蘭奢待の一部なのかもしれない」と語った。志野流の継承者、蜂谷宗苾氏は新型コロナ感染症の終息を願い、増上寺で蘭奢待の一部を焚き、献上している。足利義政、織田信長、明治天皇と同じ香りを聞いたが、言語化は難しいという。

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スタジオトーク

濱崎加奈子さんは「香りの文化というのは見えないものに対する憧れ、見えないものの価値を尊重する日本文化の特質をよく表していて、蘭奢待はその中でも頂点に位置する」と語った。佐藤二朗は好きな香りにニンニクを調理している香りを挙げた。

キーワード
蘭奢待
(エンディング)
次回予告

歴史探偵の次回予告。

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