2026年10月13日放送 4:50 - 5:00 NHK総合

視点・論点
iPS細胞20年 医療応用の現在地

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(視点・論点)
iPS細胞20年 医療応用の現在地

iPS細胞は血液や皮膚の細胞を加工することで作り出す細胞。特徴はほぼ無限に増やせること、体の様々な細胞に変化させられること。細胞を用いて組織の機能を再生する再生医療。2026年3月、iPS細胞を用いた2つの再生医療等製品が国から条件及び期限付き承認を受けた。1つはパーキンソン病を対象にした神経細胞の製品。iPS細胞からドパミン神経前駆細胞を作り患者の脳に移植する方法を開発。研究成果を元に企業が製品を製造し2026年5月に公的医療保険の適用対象となった。もう1つは重症心不全を対象とした心筋細胞の製品。 iPS細胞から作った心筋細胞をシート状にし弱った心臓の両面に移植する方法を開発した。企業によって製品化され2026年9月に公的医療保険の適用対象となった。他にも国内外で様々な病気でiPS細胞を使った臨床試験が行われている。新しい医療の開発においては安全性や技術、資金などの問題で途中で止まるプロジェクトも少なくないが、日本においてはiPS細胞研究で主要なプロジェクトが1つも脱落せず進んでいることは大きな成果。ただ2つの製品は条件・期限付きの承認。これから7年の期限の中で安全性を確かめていく。iPS細胞を使った再生医療を何千人という患者に届けるために安全性・有効性の検証に加え均一な品質の細胞を安定して大量に作る技術や製造が必要。ここからは企業が主役となり力を合わせて取り組む必要がある。支えるのが京都大学iPS細胞研究財団。高品質の医療用iPS細胞を適正な価格で研究機関などに提供するとともにiPS細胞技術を企業の製品開発へつなげる。京都大学iPS細胞研究財団の事業の柱の1つが再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト。健康なドナーからiPS細胞を作成し様々な検査で品質を確認した上で保存し提供する取り組み。あらかじめ品質を確認したiPS細胞を蓄えておくことで時間や費用を減らすことができる。iPS細胞財団ではストックの免疫に関わる遺伝子の一部を改変し拒絶反応のリスクを小さくした医療用iPS細胞を作成している。さらに患者さん自身の細胞を使った再生医療の実現を目指すmy iPSプロジェクトも進めている。2028年度中にmy iPS細胞を用いた臨床試験が開始できるよう共同研究中。再生医療用iPS細胞ストック・ゲノム編集iPS細胞・患者自身のiPS細胞の3種類で病気の種類や患者の状態に応じて使い分ける時代が来ると予想している。再生医療の選択肢を広げるとともに、どの細胞が選ばれても国産の高品質な細胞を適正な価格で速やかに提供できる体制を構築することがiPS細胞財団の使命。一方、世界ではiPS細胞を含む細胞医療の研究開発競争が激しくなっている。日本は抱負な民間資金をもつアメリカや国をあげて研究にあたる中国に猛追を受け正念場を迎えようとしている。iPS細胞の実用化を進める後半戦では国内の研究者や企業がこれまで以上に密接に関係することが重要。オールジャパンの体制をさらに発展させることが今後の課題。次の20年にはiPS細胞を使った治療が国内外で多数、承認され多くの患者に届いてほしい。未来に向けもう1つ大切なのは今あるiPS細胞を発展させることだけではない。若い研究者にはiPS細胞を超えるような新しい技術を生み出してほしい。

キーワード
パーキンソン病京都大学iPS細胞研究所京都大学iPS細胞研究財団人工多能性幹細胞大阪大学
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