染井為人の「みずいらず」を紹介。本作は9つの物語からなる短編集で、中でも「おかしいのはどっち」を紹介。主人公は離婚歴がある綾子で、前の夫との間に出来た長男がいる。3年前に9歳年下の夫と再婚。当初は関係を心配したが本当の親子のように仲良しに。1年後に2人の間に次男が生まれ、夫が長男に対して冷たくなったように感じた。夫が子育てに協力的なほど綾子の不安は募り、長男の教育方針で言い争うようになった。綾子は小学校で長男の通知表を見て、三段階評価でほとんどが最低評価。更に学校から発達障害の疑いを示唆された。不安に押しつぶされそうになるが、夫から「おれの子だから仕方ない」などと言われ、誰よりも血の繋がりを気にしていたのは自分だと気づき、夫の優しさに救われた。染井は「夫婦は赤の他人がくっついて生活していく。その中での思いやりを描きたいと思った。」などとコメントした。