地表から噴き出す真っ赤な溶岩。大地を覆うように広がり、道路も飲み込まれていく。ここは北欧の島国アイスランド。この半年足らずで5回噴火が発生。番組が向かったのはグリンダビーク。街のあちこちに、黒く固まった溶岩が。家や道路には地殻変動で大きな亀裂が入っていた。街の学校は来年までの休校が決まるなど暮らしを一変させた溶岩の脅威。さらに、町の主要産業にもダメージが。向かった先にあったのは水が抜けてしまった空の水槽。ここはアイスランドの名産ホッキョクイワナを育てる養殖施設。火山活動をともなう地震で魚を育てる水槽に亀裂が入り多くの魚を失ったという。また、周辺の水質も変化。養殖に適した水を調達するのも一苦労だという。噴火前は約4000人が暮らしていたというがほとんどの住民が避難した。ただ、1度は避難したものの町に戻ってきた住民もいる。4人家族のマグニさん一家。マグニさんは住み慣れたこの町で暮らし続けたいと話す。そこにはある思いがあるという。マグニさんは「私達は火山とともに生きてきた。共存することはできる。人が安心して暮らせることを示す必要があると思った」などコメント。実は火山と共存するための対策があった。町を囲うように作られたのは全長約7キロの巨大な壁。この壁が溶岩を防いでいる。しかし、今年3月の噴火では壁を乗り越えて溶岩が流れ出る事態も。そこで2つ目の壁を作り、今後さらに多くの溶岩が流れ込んだ場合はその壁で溶岩の流れを変えて海へと流す計画。そして、その海の水を使って町を守るという独自の対策も。実は1973年に起きた大噴火の際にも海水で溶岩をせき止めた。今後、地元当局は海水で溶岩を冷やし町へ流れ込まないように誘導する作戦を検討するという。そして、もう一つの対策が避難ルートの確保。訪ねたのはピザが売りの店。今では町で唯一営業しているレストラン。この店では客に安全に食事を楽しんでもらうために噴火の場所に応じた避難経路を確保しているという。火山活動で生み出された手つかずの大自然や、世界最大級の露天風呂ブルーラグーンなど、火山による恵みも多いアイスランド。火山との共生についてアイスランドの地質学者は「日本も同じだが、火山活動が活発な地域で豊かな生活を送ってきたので、火山とうまく共存していく必要がある。あらゆるケースに備えておくべき」などコメント。