和菓子職人の水上力氏は四季を愛でる日本の美意識を和菓子で表現している。菓子作りに欠かせないのが純粋な葛粉で、本葛粉は香りが豊かで、コシも違うという。産地の1つが宮崎・串間市。葛は成長力が強く、木々などに絡みついて繁茂し、根には葛粉の材料となるデンプンを溜め込む。葛の根掘りの名人、前田清美氏は焼酎で道具などを清め、塩や米を森に供え、山の恵みをいただく許しを請う。12月、前田氏は100kg程の葛の根を採ったが、得られる葛粉は10kg足らずだという。近年、森が手入れされず、葛が蔓延る山が増えている。光は遮られ、森は荒れてしまうという。手が加えられて陽光が差し込むようになった森では山鳥、ニホンザル、イノシシなど豊富な動物たちの姿があった。