病気などの理由で、自由な移動が難しいいわゆる「外出困難者」の人たち。その社会的孤独をどう解消するかが課題となっている。東京・小平市にある「むさしの病院」の分身ロボット「OriHime」。今、病院の業務の一部をロボットに任せる国内で初めての実証実験が行われている。OriHimeを遠隔で操作しているのは、病気などの理由で自宅などからの外出が制限される外出困難者。実験の目的について、むさしの病院の鹿野晃さんは「ロボットの中に人が入って、とりわけ障害を持たれた方が現場で仕事ができるだろうと」と話した。OriHimeを操作するパイロット・カーリーさんは、進行性の難病で車いすの生活を送っている。手の動きなどは、パソコン画面に配置されたアイコンで操作。オリィ研究所OriHime事業部長・高垣内文也さんは、世界的にもそのような遠隔操作のロボットを活用して移動困難な方々が社会に参加するというのは非常に珍しい事例だと話していた。慢性疲労症候群で寝たきりの生活を送る北海道旭川市在住のゆきさんもパイロットの一人。病院では玄関の他、待合スペースや会計機のそばなど数カ所に設置され、それぞれ別のパイロットが操作している。さらに、ふじみ野小学校(埼玉・富士見市)で小学生に心肺蘇生やAEDを教える救命講習にもOriHimeは登場している。OriHimeと接することで、講習に取り組む児童の意識が高まったという。実証実験の期間は2カ月で、早ければ来月にもOriHimeが本格的に導入されるという。
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