ロシアのウクライナ侵攻からまもなく3年になるのを前に、ウクライナ経由のロシア産天然ガスのヨーロッパへの輸出が停止した。二村伸専門解説委員が「ウクライナ政府はロシアの国営ガス会社ガスプロムと天然ガスをヨーロッパに輸出する契約を結び、戦時下でもパイプラインは破壊されることなくスロバキアやチェコ、オーストリアなどに供給していた。これによって得られる年間9億ドルから10億ドルがウクライナの貴重な収入源となっていたが、ロシアの侵攻が続く中でウクライナ政府は5年間の契約の延長を拒否したため、今月1日をもってガスの供給が止まった。ロシア側の損失はおよそ50億ドルに上るとみられ、ウクライナ政府はロシアは市場と収入を失い始めるだろうとその意義を強調している。ヨーロッパはロシア依存からの脱却を進めロシア産の安いエネルギーに頼る時代は終わりつつあるが、今回の措置にはロシアだけなく周辺の国々からも戸惑いや反発の声が上がっている。モルドバでは発電用のガスが不足して一部の地域で計画停電を余儀なくされ暖房が止まったり、工場が稼働できなくなったりした。またスロバキアは、首相がウクライナへの電力の供給停止や難民支援の縮小など報復措置を取る可能性を示唆するなど対立を深めている。紛争が長期化するにつれロシアだけでなくウクライナにも批判の矛先が向かっている。またヨーロッパでは今年の冬は厳しい寒さが続き、エネルギー価格の上昇が懸念されている。今回の事態はロシア依存からの脱却がいかに難しいかを物語っている」とスタジオで述べた。