ソニーフィナンシャルグループ、石川久美子さんのきょうのドル円予想レンジは150.50円~152.20円。石川さんは「本日も複数の経済指標が発表予定。これらの結果や日銀による円買いを警戒して152円台のせを伺う神経質な値動きとなりそう」などと述べた。きょうの注目ポイントは『再び浮上するアルゼンチン・リスク』。石川さんは「アルゼンチンは1816年にスペインから独立して以降、9回のデフォルトを経験している。大衆迎合的な政権が長く続いたことにより膨らんだ財政赤字を穴埋めするために紙幣増発を繰り返すなかでインフレが加速。国民の生活は非常に厳しいうえに汚職が絶えず、政治への信頼感は非常に低い。アルゼンチンペソは長く減価を続けてきた。今週末に大統領選の決選投票を控えているが極右候補のハビエル・ミレイ氏が躍進しペソ安が加速。ミレイ氏がアルゼンチン中銀とアルゼンチンペソの廃止を公約にしているため。与党連合の候補セルヒオ・マサ氏はミレイ氏の公約は実現性に乏しいという点を批判しているが、5人に2人が貧困という状況を生み出した現政権のマサ氏に対する国民の反発もあり、支持率は拮抗している。ミレイ氏が当選した場合、アルゼンチンペソの廃止リスクが急激に上がるためアルゼンチンペソの減価は免れない。その場合、140%を超えるインフレ率がさらに進む可能性が高く不透明感が増す。マサ氏が当選したとしてもアルゼンチンの経済状況が改善するわけではない。非公式レートが反発することはあってもペソ高にはつながりにくい。多くの金融機関はアルゼンチンにからむ金融資産の割合を絞っていて、グローバル金融市場全体がリスクオフに傾く可能性はないと考えられる。アルゼンチンと取引のある企業には大きな影響が出る可能性がある」などと述べた。