バイデン大統領を批判する政治広告は、来年の選挙でバイデン氏が再選した場合の架空の未来を描いている。政権奪還を狙う野党・共和党が制作した。本物の写真のように見えるが、すべてAIが生成した画像。一方、トランプ前大統領の陣営がSNSで上で拡散したのが共和党の候補者選びで争うデサンティス氏のように見える男性。性的マイノリティーに対して保守的な姿勢で知られているはずが着ているのは女性用のスーツ。しかし本人とは全く無関係のAIが生成したと見られるフェイク動画。普段の主張からは考えられないような行動を見せ、支持者からの信頼を落とす狙いがあるとみられる。氾濫する生成AIによるフェイク情報。一方で本物かを見抜く対策も進んでいる。ある企業が開発した技術は、AIが生成した際に現れる特徴を指標化し、動画などが偽物かどうか見極めようというもの。ただ、嘘を見抜く技術の開発が進んでも新たな生成AIも次々登場。フェイク情報の拡散を防ぐには規制強化しかないと訴える。こうした懸念に対し、アメリカ議会では意見が分かれ議論が進んでいない。先月開かれた議会上院の公聴会では、規制に前向きな与党・民主党に対し、野党・共和党からは「表現の自由」の観点から規制に慎重な声が相次いだ。
こうした状況に警鐘を鳴らすのがアメリカのNSAのトップを務めたロジャーズ元長官。「国内だけではなく外国の勢力も生成AIを使って選挙に干渉する恐れがある」と指摘する。とりわけロシアを警戒するのには、自身がNSAの長官を務めていた2016年の大統領選挙の経験から。当時、トランプ氏とクリントン氏が争う中、ロシアが投稿したとされたのが、アメリカの退役軍人を装った画像。棺の前で泣き崩れる女性にクリントン氏が「だからどうしたの?」と言ったかのように誤解される記述。NSAは「ロシアがフェイク情報などを拡散し、クリントン氏の信用を失墜させてトランプ氏の当選の後押しを図った」と結論づけた。ロジャーズ氏は「来年の大統領選挙にもロシアが介入する可能性は十分にある」と指摘する。生成AIが作ったフェイクによる混乱は日本でも懸念が高まっている。岸田総理大臣はこの秋にも開催予定のG7オンライン会議で開発者向けの国際的な指針や行動規範を策定する考えを示している。生成AIとどう向き合っていくのか、開発者側だけでなく情報を受ける側も問われている。
こうした状況に警鐘を鳴らすのがアメリカのNSAのトップを務めたロジャーズ元長官。「国内だけではなく外国の勢力も生成AIを使って選挙に干渉する恐れがある」と指摘する。とりわけロシアを警戒するのには、自身がNSAの長官を務めていた2016年の大統領選挙の経験から。当時、トランプ氏とクリントン氏が争う中、ロシアが投稿したとされたのが、アメリカの退役軍人を装った画像。棺の前で泣き崩れる女性にクリントン氏が「だからどうしたの?」と言ったかのように誤解される記述。NSAは「ロシアがフェイク情報などを拡散し、クリントン氏の信用を失墜させてトランプ氏の当選の後押しを図った」と結論づけた。ロジャーズ氏は「来年の大統領選挙にもロシアが介入する可能性は十分にある」と指摘する。生成AIが作ったフェイクによる混乱は日本でも懸念が高まっている。岸田総理大臣はこの秋にも開催予定のG7オンライン会議で開発者向けの国際的な指針や行動規範を策定する考えを示している。生成AIとどう向き合っていくのか、開発者側だけでなく情報を受ける側も問われている。