政治家の日記や書簡などの資料を収集して、日本近現代史の研究に貢献した歴史学者で東京大学・名誉教授の伊藤隆さんが今月19日に亡くなった。伊藤さんは政治家や要人の日記や書簡など、数多くの資料を発掘し、昭和天皇の側近・牧野伸顕や皇道派の軍人で陸軍大将を務めた真崎甚三郎の日記など、多くの歴史的な資料の編さんや刊行に尽力した。また、政治家などに直接聞き取りを行い、記録に残っていない歴史的な事実を掘り起こす「オーラル・ヒストリー」と呼ばれる研究手法を用いて岸信介元首相や竹下登元首相などの回想録を手がけた。保守派の論客としても活動し、戦前の日本の政治体制を「ファシズム」と呼ぶのは適切ではないと主張して議論を呼んだほか、晩年は「新しい歴史教科書をつくる会」の設立にも関わった。