福島の事故の前に安全対策が不十分だった背景には、原発が導入された昭和当時に政府や電力会社が「原発は安全」と説明していたこと、以前は規制機関が原子力を推進する官庁の経済産業省の中に入っていたことが挙げられる。また、福島の事故以前から「国策民営」という業界の構造に関する課題も指摘されていた。原発の最新の動きと課題について、使い終わったあとの核燃料をめぐっても課題がある。使用済み燃料は青森県六ヶ所所村にある再処理工場に持ち出し、まだ使えるプルトニウムやウランを取り出してそれをもう一度核燃料に加工して使っているが、六ヶ所村の工場はまだ本格稼働できていない。また再処理工場で処理すると高レベルの放射性廃棄物（核のごみ）が出るため、政府は深いところに埋めて処分する方針や計画を立てているが、場所が決まっていない。一方、核のごみを減らすことのできる核変換技術の基礎実験が始まっている。高速で放射性物質に当てて人為的、強制的にどんどん核分裂を進ませる技術で、数百年で自然界にある天然ウランのレベルまで有害度を減らせることができるという。