現在東京藝術大学大学美術館では相国寺展が行われている。伊藤若冲は相国寺で絵を学び、住職の梅荘顕常が無名時代から貴重な美術品を若冲に見せて学ばせるなど支援し続けた。また無名時代には金閣寺大書院の襖絵を描く大役も与え、代表作の一つである動植綵絵の元にもなったとされる鶏の壁画もこの時に描いた。相国寺では創建当時足利義満が日明貿易で中国から手に入れた舶来美術品が入ってきたことで文化や美を愛し絵が描ける僧侶を数多く生んだ。室町時代には瀧谷寺の画僧が将軍家の御用絵師を担っていた。一方天橋立図などで知られる水墨画の巨匠 雪舟も僧侶として相国寺で絵を学び、長い間芽の出ない期間を過ごしていた。代表作は禅とは何かを牛と人間の関係を使って表した「十牛図巻」。雪舟はその後明に留学して頭角を表し、晩年の作品「破墨山水図」には相国寺の周文と如拙が師匠だったと書き残している。相国寺展は5月25日まで開催。