東京・西東京市にある創業38年目の一八亭。この店で腕を振るうのはイタリア出身のジャンニさん。黙々と作業するその佇まいは日本の頑固なラーメン職人さながら。看板メニューは正醬ラーメン。鶏ガラ、げんこつ、野菜を煮込んだスープ。イタリア人のジャンニさんならではのこだわりは、懐かしさだけでなく新しさにもあるという。それはローマのまぜそばというメニュー。まるでパスタのようなメニュー。麺には主にパスタに使われる小麦粉デュラムセモリナを使用。イタリア産の生ハムに羊のミルクで作ったたっぷりのペコリーノロマーノチーズと卵黄を混ぜていただく塩ダレベースのまぜそば。トッピングに野菜のトマト煮と自家製リコッタチーズ、濃厚味噌とトマトの酸味がたまらない味噌ポナータなども人気。ラーメンのベストパートナー餃子もイタリアン。ここにしかない味を求めお客さんが殺到する人気店。でもラーメンの存在すら知らなかったジャンニさんがなぜ日本でラーメン店を開いたのか!?実はきっかけは二人三脚で店を切り盛りしている妻の知枝さん。出会いは約20年前留学していた知枝さんにたまたま観光で訪れていたジャンニさんが一目惚れ。知枝さんは日本に帰国するとなんとジャンニさんは1ヶ月後に追いかけて日本へやってきたという。ジャンニさんの熱意が届き2005年に結婚。そして、知枝さんが父から託された一八亭の仕事をジャンニさんも手伝うことに。恋愛同様に仕事ぶりも一途。知枝さんのもとで腕を磨いていったジャンニさん。外国人店主に抵抗を覚える客も少なくなかったという。そんな日々に苦しむジャンニさんを見て知枝さんがひらめいた。それはメニューをイタリアンっぽくすること。ちょっと変わった形の餃子もその一つ。中にはイタリアンソーセージとモッツァレラチーズ。オリーブオイルと塩でいただくおしゃれな餃子。しかし、夫婦はすれちがいの生活。朝9時から午後8時までジャンニさん。その後、翌朝8時から翌朝4時までの営業は知枝さん。それぞれ1人で店を営業している。これは常連客のために長く店を開けておきたいからだという。一緒に過ごせるのは週に1度の定休日だけ。でもついつい仕事の話になってしまうことも。