東日本大震災以降、大都市から地方への移住が活発化したが、人気のある地域と人気のない地域が存在する。2024年の人気移住先は群馬や静岡など東京に比較的近い地域だが、一方で岡山・西粟倉村の例もある。西粟倉村は岡山の北東端に位置する人口約1300人の小規模な自治体。高齢化・過疎化が進んでいたが2013年以降はIターンによる転入者で人口が増える年もある。2007年に村役場は雇用対策協議会を設置し移住者に空き家をあっせん。2008年に森林資源をいかした起業支援や交流イベントを積極的に展開し移住者の増加につながった。2015年には地域に根ざした起業を行う人材を発掘・育成する支援プログラムを開始し、以降5年で50社以上が起業した。
移住者が地方に求めるのは、「やりたい」仕事や趣味などの実現の場。地域住民はお金を中心に考えている人が多いのに対し、移住者たちはお金では買えない価値を求めて地方移住を希望しており、考え方に大きな乖離がある。「選ばれる移住先」とは「多様な価値を認め合える地域」であると言え、地域住民と移住者が対話し共感しあうことが大切になる。