1日約370便の飛行機が行き交う伊丹空港に、毎日お昼どきに1機だけ現れる空飛ぶイルカ。それは、天草エアラインの「みぞか号」。世界文化遺産「天草の崎津集落」などで有名な熊本県天草は、野生のイルカを観察できるイルカウォッチングが観光の定番で、そのイルカをモチーフ―にしている。天草の方言で「かわいい」という意味。母親イルカのみぞかに、男の子の“かいくん”と女の子の“はるちゃん”があしらわれている。天草エアラインが所有している飛行機はみぞか号の1機だけ。天草エアライン設立当初から働く川崎茂雄さんは、「自分の車は洗わない。洗っているのはこれだけ」と愛情を注いでいる。天草と福岡を1日3往復しており、1日1便だけ熊本空港を経由し関西へ。九州以外で就航しているのは伊丹空港だけだ。午前9時過ぎ、伊丹行きに搭乗する客が集まってきた。みぞか号に一目ぼれした晴翔くんは毎日インターネットで運航情報をチェックし、みぞか日記をつけてきた。父親におねだりして、今回の搭乗が実現したという。天草エアラインは九州の地域の足として2000年に誕生。しかし乗客数が減少し、関西の客を取り込むため2010年伊丹空港に就航した。そして、2013年にみぞか号が生まれた。みぞか号の一日は大忙し。無事に客を運ぶことができ、川崎さんも一安心の様子だった。