北海道室蘭市の飲食店を営む音喜多哲朗さん。介護施設で働く友人から相談を受けて嚥下食に取り組むようになったという。そのこだわりは通常と変わらない味と見た目。音喜多さんは「食は最後まで楽しく食べてもらいたい」と語る。味付けやとろみなどに関しては何度も専門家の意見を聞き修正していく。食べやすさと美味しさの両立のために何度も試行錯誤を繰り返す。今回始めて音喜多さんのお店で嚥下食を出すことになる。80歳の女性の誕生日祝い、ご家族にも同じものが出される。女性はこれが4年半ぶりの外食で、完食したことに家族は驚いたという。女性は嬉しそうな顔を浮かべていた。この反応に対して音喜多さんは自信を持ったという。音喜多さんたちはこうした嚥下食を出す店を増やすことを目標としている。そして今回開発に乗り出したのが、豚肉を使った名物の室蘭やきとり。室蘭の人にとってのソウルフードだというこの料理を嚥下食にしたいのだと音喜多さんは話してくれた。すりおろした野菜に漬け込み、肉を2時間ほど蒸して下準備は完了。下準備した肉を持参し、室蘭市内の焼き鳥店で嚥下食として出してもらうことに。店主の盤木さんは手応えを感じた様子だった。嚥下食を通じた優しいまちづくりが広がろうとしている。