香川・高松にあるハンセン病療養所の大島青松園では、今も36人の入居者が暮らしている。8月、岡山市在住の歌手で、療養所の歌を研究する沢知恵さんによるコンサートが開かれていた。ハンセン病は、感染力が弱いにも関わらず、国は各地に療養所を作り、感染者を強制的に隔離する政策を進めてきた。戦後、特効薬が使われるようになった後も隔離政策は続けられたという。沢さんは、5年前に岡山大学大学院に入学し、療養所だけで歌われてきた歌を研究するようになったという。青森から沖縄までの13ある国立療養所全てで調査を行い、計70余りの歌があることを明らかにした。また、歌の中には入所者の存在を否定するような歌詞があることもわかった。沢さんは「あなたたちがいなくなることで日本の民族は浄化されるという思想を歌わせていた。その恐ろしさに身震いがしました」などと話した。岡山県の長島愛生園でも、否定的な歌詞の歌があり、入居者はそれが無気力に繋がり、そして救われたこともあると話した。療養所の歌は、平均年齢が80代後半となった入居者たちの声を伝え続ける。全国の国立療養所に住む入居者は9月末時点で777人で、平均年齢は88歳となっている。