国内貨物輸送の91.4%がトラック。物流危機と言われているが、政府の検討会議が指摘したのは運送業界の構造だ。商品や材料などの輸送を依頼する企業は荷主と呼ばれており、強い権限で低い運賃や期日の厳守を求めているという現状がある。これによってドライバーの低賃金や長時間労働を招いている。さらに来年の4月に時間外労働の上限規制が適応されることで人手不足がより深刻になることが予想されている。アンケートによれば4割の企業が残業時間の上限を超えるドライバーがいると回答している。政府の検討会議の根本座長はこの5年間ガイドラインで改善を促すも効果がなかったので、厚労省は実効性のある対策が必要だとしている。武見さんはこれについて「我々としても深刻な問題として受け止めている。荷主の方に運送に関わるコストを引き上げることについて理解してもらうことが第一。第二に荷物の待ち時間や、荷下ろしなどの待ち時間の問題がある。待ち時間が長くならないように荷主の方も協力をするという事が必要だし、受け取り手としても宅配ボックスなどが有用となる」などと話した。来年四月から従業員の時間外労働が規制され、上限が年960時間となることについて、逆に労働時間が規制されて収入が減少してしまうのではないかという可能性が指摘されている。低収入によってさらに人手が集まらなくなるという実態もでてくるかもしれないことに対して武見さんは「荷主の方に価格転嫁してもらって、賃金の引き上げに財源を充てるというふうに金の流れを作り替えていく必要性がある」などとした。さらに価格転嫁を大きな柱とすべききだという橋本さんの意見に納得しつつ、武見さんは「4つの方針が必要。1つ目はAIでやれるものはAIでやってもらうよう仕向ける。2つ目はやれる時間帯だけでも良いので女性のドライバーにも働いてもらう。それから元気なお年寄にもドライバーとして働いていただく。最後は優秀な外国の方にも日本に来てもらって仕事をしてもらう仕組みを改めて考えていくことになるだろうと思う」と述べた。