日本スポーツの聖地、国立競技場。元の国立競技場で今から60年前に開催されたのが1度目の東京五輪。終戦から19年後、焼け野原からの復興オリンピックはまさに平和の祭典だった。その公式記録映画の総監督を担当したのが市川崑監督。閉会式の当初の予定では各国が整列して行進するはずだったが、日本選手団に外国選手が入り混じったり、ユニホーム姿の外国選手が登場したりと選手たちは突然思い思いのスタイルで入場してきた。当時、カメラマンとして撮影していた山口さんは60年前の出来事を、今でも克明に記憶しているという。今ではおなじみとなった閉会式の入場スタイル。実は東京大会のハプニングが平和の祭典の象徴とみなされ、この東京スタイルがのちの大会にも引き継がれることになった。市川監督はスタッフに日本は戦争して負けた国なんだけど、こうやってみんな、そんなの全然無視して一緒になって競技してくれている考えたら恩返ししなきゃだめだよって話していたという。市川監督のメッセージとは裏腹に、現在、世界各地で戦闘が行われている。