きょう文化の日は、今の憲法が77年前に交付された日を記念する祝日だ。平和主義をうたった9条がよく知られているが、注目するのは95条だ。一の地方公共団体のみに適用されている特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会はこれを制定することができない。これは地方自治と住民投票について定めている。広島はどのような思いで、憲法を生かしたのか。平和大通りなどは憲法を活用し作られた。78年前に原爆が投下された。甚大な被害で復興は遅れた。参議院の疑似部長をつとめた寺光忠さん。地元の議員からある相談をもちかけられた。広島の復興は遅れ、なんとかしてほしいという。国は広島だけを特別扱いするのは難しいという立場だった。広島の惨状を目の当たりにした寺光。戦後に制定された憲法。95条を生かそうと考えた。広島市だけの法律を作ることにした。 住民投票で過半数の同意を得られれば、広島市だけに適用される法律をつくって国からの支援を受けることができるという寺光の提案だった。恒久の平和という理念と理想を広島市というひとつの都市の具体的な都市の姿において、これを実現させていくという。これを成立させるには住民投票で過半数の同意が必要となる。被爆者の切明さんは、広島市民が投票所に足を運んだ様子を覚えているという。平和でにぎやかな街になればいいという思いがあったという。投票率は65パーセントだった。賛成票が9割だった。広島平和祈念都市建設法が成立。平和都市をつくるための事業に、国が財政的援助を与えることなどが定められた法律だ。東京外国語大学の教授は、相当数の人の賛同を得て誇りを持った形で建設法を推進していける基盤が作れたという。平和の街にするという結晶体が建設法だった。寺光は、この法律の理想と理念を平常心として堅持し、固守していただきたいという言葉を残した。広島市が恒久平和を象徴する都市であるということを法律によって運命づけられておるということをひとりひとりが理解していただければと。
住所: 広島県広島市