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「府中町」 のテレビ露出情報

虐待や貧困など子どもたちが困難な状況に直面する事例が後を絶たない。重大な事態になる前に支援につなげようと福祉や教育などといった自治体のさまざまな分野にまたがる子どものデータを統合して隠れたリスクを洗い出そうという取り組みが始まっている。神奈川県開成町は都心から電車で1時間半とアクセスがよく子育て世帯が増加、子どもの数は3200人を超えている。町役場で児童福祉を担当する職員は12人。健診や家庭訪問など業務は多岐にわたる。町にある子育て支援センターでは、効率的な支援につなげようとこども家庭庁が進めるデータ連携実証事業に参加した。これまで児童扶養手当の受給状況や健康診断の結果、学校の欠席状況といった子どもに関わるデータは部門ごとにバラバラに管理されてきた。そのため困難を抱える家庭を見つけられないケースもあった。実証事業ではこうしたデータを統合分析し、虐待や貧困などのリスクの度合いを数値化し隠れていたリスクを見つけていく。町は早期の支援につなげたいと期待している。神奈川・開成町こども課・田中美津子課長は「データ連携で早めに潜在的に困っている家庭を可視化しながら何か支援できることがないか」などと話した。
広島県府中町では56項目のデータをAIを使って分析しリスクを数値化した。昨年度までの2年間で困難な状況にある子ども44人を見つけ家庭への支援や見守りにつなげた。支援につながった1人である40代の女性は単身で子ども3人を育てている。リスク分析の結果を受けて学校への聞き取りなどを行い子どもの不登校や女性の体調不安が浮かび上がった。この日は職員と相談しながら子ども向け福祉サービスの手続きを進めた。支援を受ける前は1人で悩みを抱えていたという女性は行政とつながったことで将来を前向きに考えられるようになった。データ分析で得られる情報はあくまで判断材料の1つだが、早期の支援につなげられるよう継続的に見ていきたいとしている。砂崎綾美課長は「通常では見つけられなかった44人の子どもがリスク値が高いことで“もしかしたら何かあるかもしれない”と見守ることはできる。支援ができるかもしれないというところはすごく大きい」などと話した。
北村基記者のスタジオ解説。この実証事業はおととしから始まり、全国で14の自治体と地域が昨年度、参加している。関東で参加しているのはこちらの7つの市と町。参加した自治体ではネグレクト状態の家庭の支援につながったケースなどが報告されるなど一定の成果が出ている。ただ、健康状態や経済状況、それから成績などもどれも本当にプライベートな情報が統合分析されている。子どものデータ統合は自治体の職員にとっても初めての経験でどこまで進めていっていいのか悩ましいといった声も聞かれた。専門家はデータの利用をどこまで許していいのかきちんと議論して線引きすべきだと指摘していた。岡山大学・堀口悟郎教授は「非常にセンシティブな情報も含んでデータ連携していくところが特徴的。子どもを救済するという特別の保護と子どものプライバシー権を手厚く補償するデータ保護をいかにして両立するかを議論しないといけない」などと話した。国は来年度からこの取り組みを本格的に全国的に広げていきたいとしている。プライバシー保護といった課題についても議論を深めてほしい。

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