2000年以上の歴史を持つ東洋の黒い工芸品は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など多くの人を魅了した。その貴重な逸品が一同に集結した企画展「黒の奇跡・曜変天目の秘密」が静嘉堂文庫美術館で6月22日まで開催中。この企画展では黒い焼き物が主役で、厳選した黒い工芸品69点を展示。南宋時代に作られ室町時代ごろに日本に伝来した。初の試みとして、高台も見られる展示方法を採る。重要文化財の油滴天目も展示される。曜変天目は現在の価値で20億や30億とも推定される。徳川家光が春日局に曜変天目を与えたと言われ、薬断ちの願掛けをしていた春日局は曜変天目だけを頂戴して稲葉家で代々受け継がれた。曜変天目は世界に3つあり、そのすべてが日本にある。残りの2つは、大徳寺龍光院と藤田美術館が所蔵している。藤田美術館所蔵の曜変天目は水戸徳川家に伝わった。実は、第4の曜変天目を織田信長が持っていた。足利義政の曜変天目が織田信長に伝わったとされる。名物目利聞書によると、信長にわたった曜変天目は本能寺の変で消失してしまったと記されている。