外国人の技能実習制度は人材育成を通じた国際貢献が理念だった。4年前からは特定技能という新たな在留資格も始まった。特定技能は食品製造・農業などで2号になると永住も可能になる。しかし多額の借金を抱えている実習生も多く3年間は転籍も不可のため疾走する実習生は9000人を超えた。また違法な行為を理由に許可・認定を取り消された事業者は126件に上る。岐阜市の縫製会社は技能実習生がいなければ事業が成り立たないと話す。しかし衣類・繊維の職種は特定技能の仕組みがないため、技能実習生で働く女性は来年で技能実習の期間が終わり春には帰国する予定。せっかく覚えた技術を長く活かすことができないという。
政府の有識者会議は最終報告書を発表。現行の技能実習制度は発展的な解消となり新制度は育成就労となる。また技能実習と特定技能を一致させ、原則不可だった転籍を1年以上の期間も認めるとしている。しかし「長期間転籍させないことも文面上可能になる」という指摘も出ている。専門家は「議論が後退しており技能実習生の人権を守ろうとしていない」と批判している。転籍を巡る議論の背景には、1年で賃金の高い都市部に出て行ってしまうという懸念がある。すでに日本を選ばない外国人労働者も多くなっている。2040年に必要な外国人労働者は現在の3.7倍となる674万人と試算されており、少子化が続く日本の将来の姿にも関わってくる。