海に沈む車の中から水産会社社長の男性の遺体が発見された。顔面殴打され、レンタカーを使い車ごと落とされていた。借金約2億8000万円の男性にかけられた保険金は総額4億1500万円。さらに転落した車の所有者は男性の愛人だったことが判明し、第三者の容疑者として愛人でもあった女性従業員が浮上。愛人関係は妻も黙認しており、愛人は土地を売るなどして金を工面し男性にお金を貸していた。事件当日、妻と愛人はレンタカーでドライブをしていたが愛人の体調不良でずっと家にいたと主張。
妻と愛人を乗せていたタクシー運転手は謎の男が一緒に乗車していたと証言。昭和56年1月27日、愛人が謎の男は行方不明になっていた夫で「元夫が犯行に及んだ」と供述した。自供に愛人は逮捕され元夫が指名手配となった。しかしその翌日、殺されたはずの男性が新下関駅でホームに飛び込んで亡くなったことが判明。
会社経営が傾き始め借金を抱えていた男性は替え玉を使って保険金を取ることを計画。犯行当日、競艇場で知り合った男性を殺害。偽装工作のため着ている服を交換し、レンタカーで後方から追突し海に転落させた。またレンタカーも別の海に落とし証拠隠滅を図っていた。妻は殺人ほう助の罪で懲役4年、従業員は殺人共犯として懲役7年の実刑判決が下された。