ごぼうを手揚げした温かうどんに、手作りのドーナッツ。塀の外より美味しいと受刑者や出所者が絶賛する刑務所の食事。人読んでムショラン。名付け親は岡崎医療刑務所法務技官の黒柳桂子さん。岡崎医療刑務所は精神疾患や初犯の受刑者を受け入れる日本一小さな男子刑務所。刑務所の台所の炊事工場は炊場と呼ばれる。受刑者の食事はすべてここで受刑者自身が作っている。受刑者のほとんどが料理のために包丁を握ったことがない。15年前、刑務所の管理栄養士を引き受けたときにまず考えたのは美味しくすることだった。刑務所では料理酒やみりんはアルコールなのでだめ。タバコ代わりになる皮付きのバナナも使えない。制限が多い中、美味しさにこだわったという。配膳トラブルを防ぐため盛り付けは1グラム単位で厳密に行われる。この日の昼食はごぼうの天ぷらうどん・サバのみそ和え。厳格な規律のもと、食事中は一切の会話が禁じられている。月に1度の陶芸教室はこころを落ち着かせ自分と向き合う場。更に刻まれていたのは母の日の文字。炊場では夕食の支度の前に、手作りのドーナッツ、通称ムショドを作っていた。調理担当の受刑者だけに支給される特別メニュー。
