宇都宮市などで開業したLRT(次世代型路面電車)は先月26日に開業から1年を迎えた。利用者数は事前の予測を3割ほど上回っている一方で、将来的には沿線に新たな目的を作っていくことが求められている。沿線には工業団地や学校が立ち並び主に通勤や通学の手段として利用されているが、休日の行先が大型のショッピングモールに集中していることが課題。宇都宮市が沿線の街づくりの成功例とみているのが18年前に全国で初めて本格的にLRTを導入した富山市の取り組み。駅から歩いて5分ほどの岩瀬地区には歴史的な街並みが広がっている。今食とクラフトの町として人気を集め、多くの市民や観光客がLRTに乗って訪れるようになった。この地区の街づくりを進めたのが地元で酒造会社を営む桝田隆一郎。桝田はLRT導入をきっかけに地域の人たちを巻き込み、古民家の再生など民間主導で取り組んできた。今夏のお盆休みだけでも約2000人が訪れたという。こうした取り組みは宇都宮市でも動き出している。LRTの沿線に住む宇都宮市清原地域振興協議会・直井修一は地区にたたずむ中世の城跡・飛山城史跡公園を観光やまちづくりに生かせないかと考えた。直井たちは沿線に立ち並ぶ向上にも訪れ、複数の工場の見学ツアーが開けないか検討を始めている。沿線の新たな目的地としては宇都宮市も平石停留所の前にスケートボードなどのアーバンスポーツができる総合公園の整備を進めている。