全盲の浅井さんは、2016年から盲導犬のヴィヴィッドと共に過ごしてきた。異変が起きたのは30歳の頃。自らの免疫が角膜を攻撃してしまうモーレン潰瘍を患い、医師からは角膜移植しか方法がないと告げられた。何回も手術を繰り返したが、45歳ですべての光を失った。発症したのは夫と結婚した翌年だった。9年前にやってきたヴィヴィッドと触れ合い、浅井さんは全盲の世界を楽しもうと考えた。盲学校でマッサージ技術を学び、大阪のアパレルメーカーで従業員向けのマッサージをするヘルスキーパーとして働いてきた。盲導犬の引退は10歳前後と言われ、引退後は別の過程に引き取られる。去年9月、同じ盲学校に通っていた友人が浅井さんの家を訪ねた。友人は中学生の息子が同じ病気を発症したと明かした。去年11月、ヴィヴィッドが浅井さんの元を離れる日がやってきた。ヴィヴィッドは妻と娘の3人で暮らしている愛媛の男性の家に引き取られた。